研究課題/領域番号 |
15H03305
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
宮川 成雄 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (30190739)
|
研究分担者 |
須網 隆夫 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (80262418)
宮澤 節生 青山学院大学, 法務研究科, 教授 (60001830)
和田 仁孝 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (80183127)
近江 幸治 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (90120906)
石田 京子 早稲田大学, 法学学術院, 准教授 (10453987)
藤倉 輝道 日本医科大学, 医学部, 教授 (00238552)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 臨床法学教育 / 法専門職教育 / 法曹養成 / 法科大学院 / ロースクール / 法学教育 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、①法専門職教育の再定義、②法専門職教育の社会貢献、③医師養成教育との比較による臨床方法論の検討、および④国際比較を、4つの柱としている。 ①法専門職教育の再定義については、司法書士、社会保険労務士、および行政書士の養成と継続研修について、それぞれセミナーを開催して各士業の活動形態の変化やそれに伴う研修の実情について把握することに努めた。 ②法専門職教育の社会貢献については、心理的精神的ストレスの下にある依頼者にいかに対応するかについて、臨床心理学の知見から研修プログラムの策定を行った。また、家庭裁判所の家事調停委員を研修対象として想定した家事紛争解決プログラムの策定をおこなった。 ③医師養成教育との比較による臨床方法論の検討については、全国の医科大学・医学部で実施されている「共用試験OSCE」(Objective Structured Clinical Examination)についてセミナーを実施し、医師養成教育の動向を把握することに努めた。 ④臨床法学教育の国際比較については、アメリカ・ロースクール協会年次大会、および同協会の臨床法学大会に研究者を派遣し、アメリカのロースルール教育の動向を把握することに努めた。また、中国の法学教育のシンポジウムにも研究者を派遣して、中国の法専門職教育の動向を把握することに努めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①法専門職教育の再定義については、司法書士、行政書士、および社会保険労務士について、それぞれ「認定」・「特定」資格の新設によって業務形態がより対立的な紛争解決の担い手へと拡大していること、またそれに伴い、専門職としての倫理面での研修の必要性が高まっていることを把握することができた。 ②法専門職教育による社会貢献については、臨床心理プログラムの司法修習選択型修習としての質の向上を行うことができた。家事紛争解決プログラムについては、家事調停委員を想定した研修のための教科書の出版を行うことができた。 ③「共用試験OSCE」(Objective Structured Clinical Examination)についてはセミナーを実施し、同試験を国家試験化し医師養成プロセスに技能試験要素が導入される方向性を把握することができた。 ④アメリカのロースクール教育の動向として、臨床科目をアメリカ法曹協会が認証するロースクールからの卒業要件として必修化する動向を把握することができた。また、中国では、法曹資格取得のための司法試験の受験資格として、大学法学部の卒業を要件として課す動向を把握した。
|
今後の研究の推進方策 |
①法専門職教育の再定義については、2016年度は税理士、弁理士等についてもその養成および継続研修を把握するためのセミナーを開催する予定である。 ②法専門職教育による社会貢献については、臨床心理プログラムおよび家事紛争解決プログラムの内容の充実に努める。また、大学に付設された法律事務所や法実務センターなどの活動について調査し、法実務教育面で大学がどのような社会貢献を行いうるかについて検討を継続する。 ③医師養成における臨床方法論の利用との比較研究については、「共用試験OSCE」の実施状況と制度改革の状況について把握することに努める。 ④国際比較については、アメリカ・ロースクール協会の動向、国際臨床法学教育ジャーナル学会の動向、および中国や韓国における法曹教育改革の動向の把握に努める。
|