研究課題/領域番号 |
15H03311
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
建林 正彦 京都大学, 法学研究科, 教授 (30288790)
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研究分担者 |
近藤 康史 筑波大学, 人文社会系, 教授 (00323238)
濱本 真輔 北九州市立大学, 法学部, 准教授 (20625850)
城戸 英樹 京都女子大学, 現代社会学部, 准教授 (30582358)
待鳥 聡史 京都大学, 法学研究科, 教授 (40283709)
曽我 謙悟 京都大学, 公共政策大学院, 教授 (60261947)
森 裕城 同志社大学, 法学部, 教授 (70329936)
Hijino Ken 京都大学, 法学研究科, 准教授 (90738311)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 政党政治 / 議員交代率 / 議院内閣制 |
研究実績の概要 |
本研究は、先進民主主義国の議員交代比率(legislative turnover)に注目し、各国の比較分析、特に小選挙区制・二大政党制を採る、いわゆるウェストミンスター型の国々の比較を通じて、議員交代比率を規定する要因と、議員交代比率の高さがもたらす政治的・政策的帰結を明らかにすることを目的とする。こうした目的を達するため、本研究においては、第一に、議院内閣制の国々、特に二大政党制の国々を対象として、議員交代率の高さ(低さ)の政治的帰結を分析する。与党の政策形成、野党の議会戦略について、①帰納的に各国の実情を文献研究・インタビュー・日本については議員へのアンケート調査を通じて分析し、②演繹的にゲーム論によるモデル化を試みる。第二に、議員交代率を規定する要因について、マルチレベルの政治競争等、従来の研究で見過ごされてきた独立変数を取り込むことで、より包括性の高い説明を因果メカニズムとともに提示する。具体的に、平成27年度においては、第一に、先行研究の文献研究を各自で行い、また研究会を開いて、その情報の共有を図った。第二にカナダ保守党、カナダ自由党における議員交代率の高さの要因をを探るべく、特にマルチレベルの政党政治、地方政治の在り方と、議員交代率の高さの関係に注目して、専門家への聞き取り調査を行った。第三に、日本については国会議員調査を行うべく、質問文等の検討を行ったが、政治状況等の理由から、実施に至らず、これについては研究計画と研究費の繰り越しを行った。なお議員調査については、回収率を上げるために、読売新聞社と共同で平成28年10月~12月にかけて実施し、平成29年3月に研究報告書『京都大学・読売新聞共同議員調査・調査結果報告書』を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画のうち、イギリスについては文献研究を中心に一定の進捗がある。しかしそもそも先行研究はそれほど多くないために大きな成果に至るものとは言えない。またオーストラリアについては、政党政治の概要を検討するにとどまっており、議員交代率の問題に十分迫れているとは言えない状況である。これらの問題の根底には、議員交代率を規定するような一般的モデルの形成が十分に進捗していないことがあると思われる。他方で、カナダについては専門家への聞き取りや、その後の分析など、かなりの進捗が見られた。成果の一部を学会で報告することを準備している状況であり、今後さらなる研究の発展が期待できる。また日本の国会議員調査については、当初の計画を繰り延べして、研究を行ったがその成果があり、平成28年度には、貴重なデータの収集に成功し、記述統計を中心とした報告書をすでにまとめており、十二分な進捗が見られた。
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今後の研究の推進方策 |
研究の困難に直面したイギリスやオーストラリアの研究を進めるよりも、むしろ研究進捗の見られたカナダや日本の国会議員調査をさらに重点的に進め、研究成果に結び付けたい。他方で、理論モデルの構築により一層注力したい。比較制度論の立場から議員交代率にアプローチする研究は国際的にもいまだに十分な成果を示していない。問題は、ウェストミンスター型の国々の異同を十分に説明しきれない点にあると思われ、本研究課題を遂行することでこの課題への貢献を引き続き試みる予定である。
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