研究課題/領域番号 |
15H03327
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
栗野 盛光 筑波大学, システム情報系, 准教授 (90732313)
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研究分担者 |
八木 孝仁 岡山大学, 大学病院, 教授 (00304353)
湯沢 賢治 独立行政法人国立病院機構水戸医療センター(臨床研究部), 移植医療研究室, 臨床研究部長 (10240160)
繁野 麻衣子 筑波大学, システム情報系, 教授 (40272687)
秋山 英三 筑波大学, システム情報系, 教授 (40317300)
大藤 剛宏 岡山大学, 大学病院, 教授 (40452578)
吉瀬 章子 筑波大学, システム情報系, 教授 (50234472)
阿武 秀和 筑波大学, システム情報系, 特別研究員(PD) (30706734)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 移植医療 / 経済制度 / マッチング |
研究実績の概要 |
この研究プロジェクトの目的は、肺や肝臓の移植に関して、ドナー交換を考慮して移植手術数を最大にするような臓器移植ネットワークを構築することである。そのために、(1)基礎理論モデルを構築し、理論結果を導くこと、(2)アンケートを実施し、移植ネットワークに関わるであろう患者とドナーの交換移植導入に対する意見を収集すること、そして(3)基礎理論モデルとアンケート結果を基に、シミュレーションを行い、日本でドナー交換移植ネットワーク構築の効果を推計することである。
本プロジェクト実施一年目にハイブリッド肺移植を分担者が世界で初めて成功した。このハイブリッド移植を考慮に入れた理論モデルを構築し、分析を行った。その成果は、Social Choice and Welfareの国際学会、WZB Berlinが主催する国際ワークショップにて発表された。また、アンケートは、岡山大学病院のドナーや患者の約400名、筑波大学学生250名に対して実施し、データ分析を行った。数理最適化分野における、錐最適化手法の理論と応用に関する研究を行うとともに、肺ドナー交換モデルの数理最適化アプローチにも共通する、さまざまな応用モデルの実証実験に関する研究を行った。
米国の交換移植の現状を調査し、その問題点について検討した。米国では腎臓移植で交換移植のための組織が複数あり、生体腎移植の11.2%で交換移植が行われてはいるが、O型ドナーの不足という問題があった。一方、生体肝移植では、移植予後に影響を与えるドナー選択の制限には1)ABO血液型 2)グラフト容積:GRWR(グラフト重量/レシピエント体重比) 3)ドナー年齢などがある。ドナースイッチの可能性はABO血液型のみならずGRWRも含めSmall size syndrome を回避できる可能性があることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肺ドナー交換モデルを構築して、効率性、公平性及び誘引両立性の観点からドナー配分メカニズム設計の分析を行い、優先メカニズム(priority mechanism)が望ましい性質を満たすことを明らかにした。また、シミュレーションを実施する際の基礎的な分析を実施した。約650名分のアンケートを実施して、基本的なデータ分析を行った。
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今後の研究の推進方策 |
肺ドナー交換モデルを構築して、効率性、公平性及び誘引両立性の観点から優先メカニズムが望ましい性質を満たすことを明らかにした。また、この結果は腎臓や肝臓などsingle graftで移植手術を行うモデルでも成り立つことを示した。全ての成果をまとめて論文化する作業を行う。
さらに移植に関するアンケートを行い、基本データを集めるとともに、データ分析を論文にまとめる。このデータをもとにシミュレーションを行う。
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