研究課題/領域番号 |
15H03329
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
堀井 亮 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (90324855)
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研究分担者 |
奥井 亮 京都大学, 経済研究所, 准教授 (20563480)
上東 貴志 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (30324908)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 経済成長 / 市場仲介 |
研究実績の概要 |
これまでの経済成長理論では、財の開発・生産を行う企業と家計が財や労働力を直接取引する状況を考えており、実際の経済取引で重要な役割を果たしている商社・派遣業者など市場仲介者の働きを明示的に考えてこなかった。一方、市場仲介のミクロ経済的研究は、個々の取引メカニズムにのみ興味を持っており、マクロ変数への波及や長期の動学的効果を考えていなかった。しかし、近年の情報技術の革新や新しい市場技術の登場は、市場仲介が経済成長を牽引する可能性を示唆している。そこで、経済成長分析・実証分析に強みをもつ京阪神の3経済系研究所と、市場仲介の先進的研究実績を持つオランダのティンバーゲン研究所が共同して、経済成長と市場仲介の相互作用を解明し、新しい見地から成長戦略の提言を行うことが本研究の目的である。
2年目である本年は、歴史データの超長期マクロ経済成長理論への援用、経済成長理論の数理経済学的分析、市場仲介のミクロ経済学的定式化、およびパネルデータの計量経済学的処理方法の探求というという視点から、それぞれ研究・調査・分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目である本年は、歴史データの超長期マクロ経済成長理論への援用、経済成長理論の数理経済学的分析、市場仲介のミクロ経済学的定式化、およびパネルデータの計量経済学的処理方法の探求というという視点から、それぞれ研究・調査・分析を行った。
堀井はブラウン大学において前年度に引き続き歴史データの調査とマクロ理論の定式化・分析を行った。ブラウン大学では、産業革命以前における市場取引に関連するイベントが、その後の経済成長をどのように誘発した方という観点での研究が多く行われており、その手法を習得することに注力した。海外研究分担者(JSPSの形式上は研究協力者)の渡辺は市場仲介のミクロ経済学的定式化についてRAND Journal of Economicsに成果を発表したほか、多くの国際学会で中間成果を報告した。経済成長の基礎理論を担当する上東もJournal of Mathematical Economics, Journal of Economic Theoryに経済動学関連論文が採択された。計量分析担当の奥井も、パネルデータの分析方法に関して、国際学会での報告を行うと共に、複数の論文が国際ジャーナルに採択されている。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者の堀井と海外研究分担者の渡辺が密に連絡を取り、日本・オランダの相互訪問により、論文を具体化していきたいと考えている。本年度まで国内研究分担者であった京都大学の奥井は来年度海外の大学(ニューヨーク大学上海キャンパス)に移籍することになったので、実証分析担当として、来年度より中島賢太郎(一橋大学)を研究分担者として迎える予定である。
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