研究実績の概要 |
サービス産業は同時性、不可分性、消失性などの特徴を持つため、可視化や工程の分離が難しい。供給側で事前に準備すること以外に、客と共にサービスを創出する部分が技術、質、満足に影響を与える業種では、それらの可視化や計測が困難で、利益向上のための施策や政策提案が難しい。Yoko Konishi (2017) "On the Role of Skill, Quality, and Environmental Factors on Customer Behavior of the Beauty Industry"においては、対個人サービス業の中でも美容産業に注目し、顧客の来店行動と、属性、サービス提供者のスキル、その他の環境要因との関連を考察した。 Yoko Konishi (2017) "Global Service Value Chain in Japan: Inbound tourism cases,"においては、わが国の財の生産過程におけるサービスの役割に焦点を当ててGVCs(Global Value Chains)の現状を概観した。更に、サービス産業の提供(生産)工程のGVCsに関する研究を行った。特に、訪日ブームに注目し、Gerreffi 他(2009、2011)に倣って日本の観光業のGVCs-Mapを作成し、その経済波及効果の計測と、2020年および2030年の訪日外国人支出額の目標値が達成された場合の、経済波及効果の予測を行った。Y. Konishi, Y. Nishiyama, S. Mun and J. Sung, "Measuring the Value of Time in Freight Transportation,"では、荷主の輸送に関する時間価値の計測のための新たな方法の提案を行った。貨物輸送市場において、輸送業者は利潤最大化、荷主は金銭的費用に加え時間費用の最小化を実現することで均衡において運賃が決定するというモデルを作成した。その際、高速道路利用や荷物の積み下ろし時間の短縮などの輸送時間を決定する要因を明示的にモデルに考慮している。
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