研究課題/領域番号 |
15H03343
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
臼井 恵美子 一橋大学, 経済研究所, 准教授 (50467263)
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研究分担者 |
高山 憲之 公益財団法人年金シニアプラン総合研究機構, 研究部, 研究主幹 (30102940)
中村 さやか 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (20511603)
奥村 綱雄 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (90323922)
小林 美樹 佐賀大学, 経済学部, 准教授 (70722388)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 経済政策 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、LOSEF調査等を用いて、①配偶者の働き方と夫婦満足度についての論文を執筆し、それを国際ワークショップで報告した。また、②親の働き方と子供の教育についての論文を執筆した。 ①の論文については、就業している母親と専業主婦の母親との間で、母親と父親が子供と「充実した交流時間」を過ごすことができているのかなど、親の働き方と子供の家庭教育との関係を検証した。分析の結果、母親がフルタイムで働いている場合、母親が子供の勉強を見る頻度は下がるが、それを補うように父親が子供の勉強を見る頻度が高くなっている。しかし、両親合計では、子供の勉強を見る頻度は全体としては低下しており、母親が子供の勉強を見る頻度が下がる分を父親がある程度補ってはいるが完全には補っていない。父親が長時間労働の場合、子供の勉強をみる頻度、及び、共に食事をする回数が少ない。従って、父親が長時間労働を改善し、仕事と生活の調和を図るならば、より一層子供と共に過ごす時間が増える可能性がある。そうなれば、夫婦の家事・育児の分担時間が母親の育児負担を軽減させることになり、母親の就労を促進する可能性があることを明らかにした。 ②後者の論文については、専業主婦の場合は、夫が週末に家事の分担割合を高めると妻の夫に対する満足度は高まる。しかし、就業している母親の場合は夫が平日に家事分担割合を高めると妻の夫に対する満足度は高まる。そのため、日本の共稼ぎ夫婦にとって家事労働は特に週日において重荷であり、これは夫の長時間労働を減らしたり、あるいは家事労働の一部を家庭外に求める(外注する)ことによって軽減でき、そのような変革によって結婚している女性がさらに労働市場に参入するのを支援できる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LOSEFデータを用いた研究論文(「How to Share Housework between Husbands and Wives: Improving Marital Satisfaction for Working Wives in Japan」、「親の働き方と子供の家庭教育」)を、セミナーで報告し多くの有用なコメント得た。併せて、平成28年度に実施予定の調査に向けて具体的な準備を進め、質問票の構築については、これまでの発見や情報を活かすことによって詳細に立案することができ、内容を具体的に固めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の平成28年度における活動として、調査票をさらに精緻に仕上げることに努めつつ、実際の調査実施を準備し、実行に移す。特に、LOSEF調査の結果を活かして、未婚者の増加、晩婚化、晩産化の決定メカニズムについての研究を深化させる。
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