研究課題
少子高齢化の進行で社会保障給付が増大し負担が増加する一方、財政赤字対策も求められ、国の財政と地方財政の関係における社会保障財政の在り方が重要な政策課題となっている。医療・介護保険では保険料安定化の財政調整制度があり、地方公共事業や公共施設運営ではアウトソーシングがあるなど、国・都道府県と市町村間にはプリンシパル・エージェントに関わる関係がある。この点にも考慮して、本研究では、社会保障と地方財政の関係が所得分配、経済厚生、財政の持続可能性に及ぼす影響について実証的研究と理論的研究を行う。平成29年度は、先行研究の文献研究に加えて制度改革を跡付けてその影響を見るための文献研究を行うと共に、公的統計及びOECD・ WHOのデータベースを用いたデータ収集を行った。実証的研究では、地方交付税や社会保障の公費負担の財源となる法人税について法人課税の租税特別措置の経済的帰結に関する分析、コミュニティバス需要のオプション価値測定と多価格提示の方法に関する研究を行った。また、社会資本整備総合交付金が地方自治体の社会資本整備に与える影響について2017年度日本地方財政学会で、地方自治体の財政調整基金残高拡大の要因分析について2017年度日本財政学会で報告した。さらに、研究協力者の協力を得て、介護保険の家族の就労に及ぼす影響についてOECD諸国のパネルデータを用いたSynthetic Control Methodによる実証分析を行い2018年国際財政学会で報告する予定である。理論的研究では、前年度に引き続き、ソフトバジェットのある地方財政モデルの分析、繰り返しゲームの場合のコミットメントの影響について事前にある程度の事後補填を組み込んだ補助システムがある場合はコミットメントが実現しやすくなりより高い社会厚生が得られることに関する分析などを行い、ベルギーCOREワークショップで報告した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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