研究課題/領域番号 |
15H03365
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研究機関 | 国立社会保障・人口問題研究所 |
研究代表者 |
泉田 信行 国立社会保障・人口問題研究所, 社会保障応用分析研究部, 部長 (70360716)
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研究分担者 |
田近 栄治 成城大学, 経済学部, 特任教授 (10179723)
山田 篤裕 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (10348857)
森田 朗 国立社会保障・人口問題研究所, 国立社会保障・人口問題研究所, 所長 (50107489)
藤井 麻由 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (70648328)
高久 玲音 一般財団法人医療経済 研究・社会保険福祉協会(医療経済研究機構(研究部)), 医療経済研究機構, 主任研究員 (80645086)
野口 晴子 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (90329318)
大津 唯 国立社会保障・人口問題研究所, 社会保障応用分析研究部, 研究員 (90736860)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 経済政策 / 情報システム / 医療経済学 / 支払可能 / 医療保険 / 介護保険 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、1)高医療費状態の持続と就業状況や所得水準の変化や保険制度間異動の関連を明らかにし、人口減少社会においても多様な生活者に対して医療保険を提供し続けるために、2)都道府県境を超える保険者統合の可能性や、3)より効果的な保険者機能発揮の方法・条件、4)若年層や低所得層、障害を負う者等に対してより支払い可能である公的医療保険制度のあり方について検討すること、である。 本年度刊行された論文のひとつは、日本,イギリス,ドイツの医療供給体制について国際比較を行い、病院サービスの確保計画に必要な情報が充分に得られない結果、病院サービスの供給が適切に行われない可能性およびその解決の方向性について検討したものである。この検討は上記の研究目的3)に沿ったものである。また別の刊行論文は健康保険組合データを用いて分析し、長期入院と就業して被保険者でいることが両立しにくいこと等の結果を得た。これは研究目的1)と関連する分析である。さらに、別の刊行論文は厚生労働省「中高年者縦断調査」の個票データを用いた定量的な分析から、親の要介護期間が1年長くなると、男女とも有意に就業確率を1%低下させること、親の家族介護を担っている本人の収入は、男女とも6~8%低いことなどを明らかにした。これは、健康状態のみならず家族介護も就業状況や所得水準に関する要因であり、研究目的1)に関連して検討する必要があることを意味していると考えられた。 この他、2編の学会報告論文はそれぞれ、乳幼児医療費助成制度の導入により減少する自己負担額の減少はあまり大きくなく、受診日数を有意に増加させるが非常に効果が小さいことを示したもの、医療サービス利用と介護サービス利用の関連性について検討したものであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述のとおり、自治体から提供を受けたレセプトデータ等を用いた分析や国際比較研究などは着実に成果があがっているところである。他方で、昨年度、作業が遅延していた公的統計の申請作業については本年度作業を実施したが、分析の遅れが完全に取り戻せたとは言えない状態である。この点については次項に記すとおりの対応を行うことにより、進捗の遅れを取り戻す予定である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度であるため、引き続き成果の公表に努める。現状で国際学会に2報告、国内学会で2報告の申し込みを行えている。上述のとおり、データの利用開始が遅れたため、迅速に分析を進め、成果を公表していけるように研究協力者の増員を既に図っている。
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