研究課題
Clarivate Analytics社が公開している高被引用の論文をもつ研究者のリスト、Highly Cited Researchers(HCR)のデータを用いて、こうした研究者が産業界とどのようにかかわっているのかについて分析を行った。日本の研究機関に所属するスター・サイエンティストを抽出し、その学術的側面だけではなく産業界における役割についても検討するため、日本のスター・サイエンティストの特許の状況について分析を行った。特許の登録数や被引用回数についてスター・サイエンティストの間でも差は大きいものの、彼らの半数以上が少なくとも特許登録をしたことがあり、また半数近くが特許の被引用もされていることが明らかになった。次に、米国において、大学・企業・自治体などの多様な関係者によってイノベーションが継続的に実現される、いわばイノベーション・エコシステムが形成されている地域クラスターの一つとして注目される、サンディエゴ地域のスター・サイエンティストにフォーカスして、彼らが実際に企業とどのように関わり影響を与えているのかを調査した。上記のデータの中から、サンディエゴ地域に所在する機関に所属しているスター・サイエンティスト66人が抽出され、各人について、学術論文と特許のデータを収集し、インターネット上の情報から履歴や企業との関わりに関するデータを得た。その結果、抽出したスター・サイエンティストの中で相対的に特許を重視する人々のみならず、相対的に論文を重視する人々においても、企業の共同設立者となるケースや、企業のアドバイザリー・ボードのメンバーになっているケースが多く、企業とのかかわりが深いことが明らかになった。また、システムレベルの分析では、ドイツやスウェーデンの事例調査により、効果的な組織間連携として、双方の組織をつなぐことのできる中心的な人材の存在が必要であることが示された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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SciREX Working Paper
巻: forthcoming ページ: 1-27
一橋ビジネスレビュー
巻: 65(1) ページ: 42-56
科学
巻: 87 ページ: 756-763