研究実績の概要 |
最終年度である2018年度の研究実績は、海外学会と海外学術誌での発表に注力した。まず、Phuong & Takahashi(2018)では、心理的契約の違反に関して、ベトナムで行った調査を分析し、心理的契約と呼ばれる無形の職務期待に反する企業の行為が、従業員の満足度やコミットメントを減じることを明らかにした。また、Nakamori, Takahashi, Han, & Derreck (2019)では、米国で創業する日系企業のカイゼン活動についてケース分析し、知的資産を生み出す組織文化を特定した。 経営情報の可視化という本課題の中核部分は、人的資源情報の測定にかかわっている。Murase, Adam, & Takahashi(2018)では、ケースで書かれた特定の状況下でとるべきリーダーシップを判断させる状況判断テストの妥当性を検証した。 大里・小川(2018)では、チームワーク、責任感、感情コントロール、コミュニケーション、リーダーシップ、モチベーション、独創性の7つの個人要素について、企業の期待と自身の期待が合致することが、職務満足と転職意思に関連することを、多項回帰分析を通して明らかにした。また、小川・大里・田中(2018)、小川・大里(2018,2019)、およびOgawa, Osato, & Takahashi (2019)では、組織文化と個人の価値観との適合・不適合の効果について、応答局面法を用いた探求的事例研究を行い、正規従業員では組織との不適合が、非正規従業員では組織との適合が組織コミットメントに重大な影響を及ぼすことを見出した。 Takahashi, Ogawa, & Osato(2019)では、大学生の採用面接において、出身大学のランク、外見の美醜、面接内容、会社との相性を操作した社会実験を通して、採用担当者が重要視する採否の基準を明らかにした。
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