研究課題/領域番号 |
15H03389
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
大内 章子 関西学院大学, 経営戦略研究科, 准教授 (20335110)
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研究分担者 |
宇野 毅明 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 教授 (00302977)
中原 孝信 専修大学, 商学部, 准教授 (60553089)
羽室 行信 関西学院大学, 経営戦略研究科, 准教授 (90268235)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 女性労働 / ビッグデータ / SNS / 女性活躍推進 / ネットワーク分析 |
研究実績の概要 |
1.SNSサイトの改修 本年度は、主にSNSサイトの利便性の改善を行うためにシステム改修を本格的に実施した。具体的には、Amazon AWSを利用したサーバー性能の向上によるレスポンスの高速化を図ったり、利用者にヒアリングを実施して、利用者が閲覧・投稿がしやすいように機能を追加したりした。また、アクティブユーザ数を増加させるために、メール通知機能を改善し、注目されている投稿内容を広くユーザに通知する機能を追加した。現在の登録者数は約250名で、そのうちアクティブユーザーは約150名、月間アクセス数が8000ページビューで、ようやく本格的な研究を実施するための環境が整いつつある。 2.ネットワーク解析のためのユーザ間データの収集 SNSサイトの改修に伴い、毎月一定の利用者数が見込めるようになり、データを蓄積する仕組みが構築できた。これまでのネットワーク解析では主にTwitterなどのテキストデータから単語間の繋がりをネットワーク(グラフ)で表現し、解析するプローチを取ってきたが、SNSデータの蓄積により、人の繋がりをベースにしたネットワーク解析が可能になる。具体的には利用者のログデータから、ユーザの行動を時間単位で取得しデータベースに蓄積することができる。このデータによって、いつ、誰が、どのページを、どの程度の時間で閲覧したかなどユーザのSNSサイト上での行動を分析することができる。次年度は継続してデータの蓄積を行い、人を中心にしたネットワーク解析を併せて実施する。 3.企業の女性活躍推進が女性の就業継続・育児休業取得、管理職登用に与える影響要因分析 育児休業取得による出産時の就業継続についての要因分析で不足する点を洗い出した。また、企業の女性活躍推進の度合により技能形成、職場環境、人々の意識、女性管理職登用にどのように違いが表れるかを明らかにするためにアンケート調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、人々の意見の収集で要となるSNSの改修に重きを置いたため、テキストデータの蓄積やアンケートデータの整理を進めたものの、それらデータの解析が十分にできなかった。しかし、SNSの改修により、継続的に利用者の動向を追跡することが可能になり、蓄積したデータとSNSから取得したデータを含めて、今後解析を行う十分な準備ができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、蓄積してきたSNSデータを利用したネットワーク解析と女性活躍推進に関するアンケートの解析を実施する。 1.人を中心にしたネットワーク解析 本年度に実施したSNSシステムの改修によって、毎月一定の利用者が見込めるようになり、データを蓄積するためのプログラムも開発した。次年度は継続してデータの収集を行うとともに、人を中心にしたネットワーク解析を行うことで投稿された記事がどのように伝播していくのか、投稿される記事や投稿者によってどのように、ネットワークが異なるのかを明らかにし、投稿記事や投稿者と影響伝播に関する仮説を発見したい。また、育児休業や女性の働き方に関する率直な意見をSNSサイトで収集し、それらの意見とアンケート調査によって得られた意見が異なるのかそれとも同じなのか、また異なる場合はどのように異なるのかという点に着目し、SNSサイトとアンケートによる調査結果の違いから調査手法による人の行動の違いに対する仮説を得たい。 2.企業の女性活躍推進が女性の就業継続・育児休業取得、管理職登用に与える影響要因分析 本年度は、女性活躍推進に関するアンケート調査を実施しており、男性、女性、管理職それぞれ約100~200名に対して、女性活躍推進の取り組み方やその進捗状況、制度・仕組みの利用のしやすさ、キャリアアップへの意識、男性管理職の意識、職場環境などを中心に回答を集めている。これらの項目は、これまでの本研究で明らかになってきた女性のキャリア形成に関する3つの要因(仕事・職場状況要因、個人の意識要因、家族状況要因)に基づく内容であり、これらの要因と女性活躍推進への取組状況との関係を明らかにすることが目的である。またアンケートの解析結果を学会発表や論文投稿を行うことで女性活躍推進につなげていく予定である。
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