研究課題/領域番号 |
15H03394
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研究機関 | 東京国際大学 |
研究代表者 |
平木 いくみ 東京国際大学, 商学部, 教授 (60367026)
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研究分担者 |
恩藏 直人 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (70194652)
上田 隆穂 学習院大学, 経済学部, 教授 (40176590)
守口 剛 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (70298066)
石井 裕明 成蹊大学, 経済学部, 准教授 (50548716)
外川 拓 千葉商科大学, 商経学部, 准教授 (10636848)
永井 竜之介 高千穂大学, 商学部, 准教授 (80732643)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 感性刺激 / 感覚 / 感情 / 視覚(カラー) / 触覚(固さ) / 身体化認知 |
研究実績の概要 |
本研究目的は、店頭における感性刺激が消費者の感情を介し、行動へ影響を及ぼすメカニズムを明らかにすることである。同時に、既存研究で取り上げられてこなかった、購買前に消費者が有している感情や、購買状況により生じる感情に対して、感性刺激が及ぼす影響についても解明を試みることで、店舗内で消費者が経験する感情を包括的に明らかにしていくことである。 H29年度は、H 28年度までに進められなかった感性刺激の単独効果の研究を優先的に進め、その後に感性刺激の複合効果への解明へと展開した。単独効果の研究として、スーパーマーケットにおけるショッピング・バスケットのカラー研究(視覚)、専門店における試着用の椅子の硬さに関する研究(触覚)、媒体による接触効果に関する研究(触覚:紙媒体 vs 電子媒体)である。ショッピング・バスケットを用いたカラー研究に関しては、店頭調査に加え、実験室実験やネット調査を実施することで知見の頑健性を高めるとともに、当該現象が生じるメカニズムの解明も図った。椅子の硬さに関する研究では、フィールド調査で得られた膨大なデータの分析作業を進め、硬さの違いによる意思決定への影響解明を試みた。媒体による接触効果に関する研究では、電子媒体よりも紙媒体の方が効果を高める状況(方法、回数、ターゲット)について有効な分析結果が示された。 複合効果の研究に関しては、ショッピングモールにおいてGPSを利用して、消費者の感情と買い回り行動の解明を進めた。買物前の感情の違いにより、ショッピングモールにおける買い回り行動は金銭的にも心理的にも影響を受けていることが示された。感性刺激との関係については分析を継続中である。 その他、小売企業トップマネジメントのセンサリー志向を測定するための尺度開発にも取り組んだ。昨年度に続き、専門店や食品スーパー等、小売業の経営層に対してインタビュー調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は企業との共同研究で進めているプロジェクトが多くを占めており、特に小売店舗におけるフィールド調査を実施する際には、企業側の事情(特別な催事、人事異動等)を考慮して進める必要性があった。そのため、実験期間における適正な環境確保が困難な状況が生じたり、調査や打合せ日程の延期が生じてしまうことが多くあった。結果的には「計画よりもやや遅れている」形でプロジェクトを進めている状況である。 一方、「計画よりやや遅れている」状況が、必ずしも研究の停滞を意味しているわけではないことを付記しておく。研究を進める中で、当初の計画では想定していなかった協力企業が加わったり、実験機会が得られたりしたため、当初計画よりも多くの感性刺激を扱う実証研究が実現しており、小売環境における感性刺激の効果を様々な角度から検証し、効果の頑健性を高めていくことが実現できていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度(H30)では、これまでの研究成果を国内・国外の学会や論文で発表するとともに、シンポジウムを開催し、社会に広く研究内容を発信していく。同時に、継続中の研究プロジェクトをさらに進め、とりわけ、これまで得られたフィールド調査の知見を、実験室実験を通してより精緻に検証し、感性刺激の効果を確認していく予定である。
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