研究課題
本研究はマーケティン・チャネルにおける「価値創造」と「価値専有」のメカニズムに関する理論的・実証的解明を目指し企画されたも。従来のチャネル研究はもっぱら、企業間の「価値専有」の部分にのみ注目しており、「価値創出」装置としてのチャネルの順機能的側面を分析の埒外の置いてきた。有効なパワー資源の構築に基づく交渉力強化に注目してきた「パワー・コンフリクト論」やチャネルから生み出されるレントの奪い合いを描写するのに注力してきた「取引費用論的チャネル研究」など、これまでチャネル研究を先導してきた主要な研究パラダイムは、いずれも価値専有を巡る取引先同士の葛藤や駆け引きにフォーカスを当てていた。それに対して本研究は、チャネル構造選択と管理行動が「差別的流通サービス」、「ブランド資産」、「チャネル成長度」、「財務成果」など、具体的な市場成果に如何に寄与するかという論点を強く意識しつつ、研究モデルの構築とその経験的妥当性の検証を試みた。特に資源バース理論などの知見を取り入れたGhosh & John(1999)の「ガバナンス価値分析モデル」を切口として、各企業固有の保有資源、ケイパビリティ及びポジショニング戦略がチャネル構造変数と結合することによって、チャネル成果変数に如何なる影響を及ぼすかについて、いくつかの有意義な分析結果を得ることが出来た。本研究プロジェクトによって明らかになった経験的発見物は、国内外の学会及び学術雑誌を通じて公表されているが、特に注目すべき分析結果としては次のような論点が挙げられる。第1に、チャネルの構造選択は、取引費用要因やケイパビリティ要因だけでは説明されず、資源やポジショニング戦略など、企業特殊的要因との結合効果を考慮した上で行われるべきである。第2に、 チャネル構造、企業特殊的要因及び取引属性間の不整合性は、戦略的・財務的企業成果に否定的な影響を及ぼす。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (14件) (うち国際共著 6件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件)
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