研究課題/領域番号 |
15H03397
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研究機関 | 流通科学大学 |
研究代表者 |
崔 相鐵 流通科学大学, 商学部, 教授 (10281172)
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研究分担者 |
向山 雅夫 流通科学大学, 商学部, 教授 (00182072)
白 貞壬 流通科学大学, 商学部, 准教授 (60400074)
趙 命来 香川大学, 経済学部, 准教授 (60582228)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | リバース・イノベーション / 逆進出的側面 / 多国籍企業 / 新興国企業 / 市場創造プロセス / ベトナム市場 / 現地パートナー企業 / グループの相乗効果 |
研究実績の概要 |
本研究はイノベーション論の視座からの分析を積極的に取り入れようとしていた。2016年1月に公表した論文「国際ビジネス研究におけるリバース・イノベーション-文献研究を中心とした概念の再考-」では、リバース・イノベーションの概念について一定のコンセンサスが取れていない点を指摘しながら、それを起こす主体がだれなのかを中心に考察を行っている。進出する立場の先進国の多国籍企業がイノベーションを起こす場合と、進出された立場の新興国企業がイノベーションを起こす場合により戦略行動と結果は違ってくることが市場創造プロセスの視点から明確にされた。 リバース・イノベーション論はもっぱらGovindarajan(2012)によって開拓されつつある研究領域であるが、ほとんどが製造業を中心とした事例研究であり、小売業やサービス業においての分析は希薄である。 それに続いて近年は南米を中心に小売業における多数の事例研究が排出されている。そこで、近年の研究動向の把握が必要であり、南米小売業研究の1人者である東京経済大学丸谷雄一郎教授を招き、「南米小売業者の外資小売業者への対抗戦略」について講演会および研究会を実施した。 その成果を事例探索に繋げていく形で、近年、産業構造や流通の近代化に向けた早急な取組みを図っているベトナム市場に注目した。最近は、カンボジアやミャンマーのような近隣諸国への事業展開を行っているベトナム企業の例が多く見られるなか、イノベーションの逆進出的側面を理解するために「地元小売業者と外資小売業者との競争」についての研究調査を実施した。その成果を「ベトナムにおける小売業の現状と課題」という論文にまとめた。規制緩和、中間流通の整備、信頼できる現地パートナー企業との連携やグループの相乗効果を活用し、迅速に店舗網を構築することがベトナムにおける小売業の成功のカギとなっていることが明らかにされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に大きな変更もなく、予定通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きイノベーション論、リバース・イノベーション論の文献研究を続けながら、事例探索とリバースイノベーション・サイクル・モデルの構築に力を注ぐ。それを並行して、アジアを中心とする新興国における先進事例に関する探索を進める。そのために、昨年度と同様に、現地に赴いて市場実態に関するレクチャーを受けつつ事例研究対象として取り上げるべき企業の選定を行う。
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