研究課題/領域番号 |
15H03402
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
薄井 彰 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (90193870)
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研究分担者 |
池田 昌幸 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (20222903)
奥村 雅史 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (30247241)
大鹿 智基 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (90329160)
吉田 靖 東京経済大学, 経営学部, 教授 (10383192)
坂上 学 法政大学, 経営学部, 教授 (50264792)
浅野 敬志 首都大学東京, 社会(科)学研究科, 准教授 (30329833)
海老原 崇 武蔵大学, 経済学部, 教授 (00367129)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 会計学 |
研究実績の概要 |
TDnetは、全国の上場企業による開示情報が一元的に管理していることから、このシステムに登録された開示情報は、広く日本企業の開示行動を検討するのに適している。東日本大震災は2011年3月11日に発生したため、3 月期決算企業は大震災直後に決算を迎えた。これらの企業においては、当該決算情報においても震災に関する情報が開示されている。その点を配慮して、調査対象を震災直後(3月11日)から6月末までにTDnetに登録された東日本大震災関連情報および決算短信情報について収集し、データベースを構築した。東日本大震災の企業セクターの損失を把握するだけでなく、XBRL形式のデータで用いられている勘定科目のバリエーションの実態についても調査し、開示に関わる比較可能性の問題についてもあわせて検討した。日本の上場企業の多くが3月期決算であるため、東日本大震災の損害額を確定できない状態で決算期末を迎え、5月には決算短信の発表と業績予想、6月の株主総会報告という状況であった。東日本大震災は、震災による特別損失の計上や経営者による業績予想の非開示などの影響を通じ、2011 年3月期の決算短信公表および2012年3月期の決算予想における不確実性を増大させたことが明らかになった。検証の結果、このような決算短信情報における不確実性は、短信公表時の市場の反応を抑制し、短信公表後の反応の遅延をもたらすことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、東日本大震災時の財務諸表情報収集、損害額の計測等を実施し、災害情報データベース構築を行うことができた。さらに、東日本大災時時の決算短信の情報効果、業績予想の情報効果、巨大災害の株価インパクトを計測し、短期的な経済影響を分析することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度には、平成27年度の研究成果を踏まえ、巨大災害が資本市場に及ぼす影響と会計情報の開示に関して、東日本大震災の記録を取り纏め、研究図書を出版する。
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