研究課題
巨大災害は、人命、財産、社会活動、経済活動に甚大な損害をもたらす。本研究はディスクロージャーの基礎理論に基づき、巨大災害が資本市場に及ぼす影響を検証している。本年度には、東日本大震災のディスクロージャー行動とその影響に関連するアーカイブを作成することに加えて、東日本大震災に関するディスクロージャーおよび東日本大震災が資本市場に及ぼした影響に関する調査、巨大災害が資産価格形成に及ぼす影響、ならびにディスクロージャー、コーポレートガバナンスおよび会計情報の非定型・非構造化データに関する基礎研究を行い、取り纏めを行った。巨大災害と資産価格形成の理論研究では、変換ベータ分布を用いた地震デリバティブの評価理論に関して、大地震とその災害が発生する確率が極値分布に従うと考え,そのリスク中立確率を変換ベータ分布の特殊ケースとして特定し、各種の地震デリバ1ティブについて、選好を表現する母数が登場しない評価式を導出した。巨大災害に関する実証研究では、東日本大震災以降の電源構成の変更が電力会社の財務状況に与えた影響を分析した。これに先立ち、商品先物市場の基礎的な分析も行った。さらに東日本大災害のショックが株式市場のリターンとボラティリティに与える影響も分析した。また、アナリスト予想のコンセンサスのデータを利用して、業績予想の非開示選択がアナリスト予想に及ぼす効果・影響について実証分析を行い、巨大災害時のような不確実性の高い状況では業績予想開示が投資家の情報環境を改善する効果があることを示した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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