研究課題/領域番号 |
15H03405
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 嘉倫 東北大学, 文学研究科, 教授 (90196288)
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研究分担者 |
今井 順 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (30545653)
竹ノ下 弘久 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (10402231)
阪口 祐介 桃山学院大学, 社会学部, 准教授 (50589190)
森山 智彦 下関市立大学, 経済学部, 特任教員 (00547903)
永吉 希久子 東北大学, 文学研究科, 准教授 (50609782)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 移動レジーム / 人口動態 / 社会移動 |
研究実績の概要 |
今年度は研究プロジェクト初年度だったので、研究メンバー間で研究目的と研究手法に関する情報を共有して、研究を推進した。 研究プロジェクト全体としては、人口動態(とりわけ少子高齢化)が移動レジームの変動をもたらし、その結果として社会階層と雇用・生活リスク分布の変動をもたらすメカニズムをより具体的に分析した。第1に、少子高齢化は高齢者に関する商品や労働力の需要を高めると同時に若年層に関するそれらの需要を低下させる。その結果として、産業構造や労働市場が変化する。そしてその変化が人々の間の不平等や雇用・生活リスクの分布を変化させる。 個々のメンバーの主な研究成果としては、次のものが挙げられる。(1)合理的選択理論の視点から、人々が世代内移動を行うメカニズムの分析を行い、高階層の人々が前向き合理性に基づいて、低階層の人々が後ろ向き合理性に基づいて転職行動を行うため転職結果に違いが出る可能性を検討した。今後は、このようなミクロな行為選択が移動レジームを生み出すメカニズムについて詳細に分析する。(2)移動レジーム論の視点から、主に社会階層と社会移動全国調査データを用いて、グローバル化の進展により、失業リスクが階層性を伴いながら全体的に高まっていることを明らかにした。また初職が非正規になるリスクについては、女性において人的資本による差が1990年代以降拡大していることが明らかになった。これらのリスク変容に対する構造的要因(新卒一括採用、女性の高学歴化、就職差別の相対的改善など)の影響を詳細に検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全体研究会を2回開催し、上述したように研究プロジェクトの研究目的と研究手法をメンバー間で共有するとともに、各メンバーが研究報告をして、相互に建設的な批判を行い、研究の質を高めた。そしてその結果を学会報告や論文執筆に展開していった。 また2名の海外共同研究者とは本研究プロジェクトの研究会や研究代表者が本務校で開催したシンポジウムなどを通じて綿密に連携している。 さらに、新たに大学院生2名を新しくメンバーとして加え、研究プロジェクトに新しい視点を導入するとともに、次世代研究者の育成も行っている。 なお本研究プロジェクトは2次データや歴史的資料の分析を主な研究手法としているため、当初予期していない事態は生じていない。 これらのことから「おおむね順調に進展している」という自己評価ができる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は順調に研究計画が進展しているので、来年度も同じ方針で研究を推進する予定である。
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