研究課題/領域番号 |
15H03408
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研究機関 | 椙山女学園大学 |
研究代表者 |
黒田 由彦 椙山女学園大学, 文化情報学部, 教授 (30170137)
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研究分担者 |
黒田 達朗 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (00183319)
室井 研二 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (20310013)
高橋 誠 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (30222087)
田中 重好 弘前大学, 大学院地域社会研究科, 客員研究員 (50155131)
山岡 耕春 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (70183118)
丹辺 宣彦 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (90212125)
松木 孝文 大同大学, 教養部, 准教授 (90589269)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 大規模災害 / 〈減災ー復興〉綜合システム / レジリエンス / 脆弱性 / 臨床社会学 |
研究実績の概要 |
年度においては、平成29年5月21日に名古屋市南区千鳥学区において防災シンポジウムを開催した。千鳥学区は平成27年度に行った質問紙調査の対象学区の1つである。シンポジウムの内容は、本科研研究分担者・松木孝文大同大学准教授による「シンポジウムのねらいと意義」、大同大学と共同で設置・運営しているコミュニティ防災ラボ所属の鷲見哲也大同大学准教授による「この地域の水害の危険性と意外性」、本科研研究代表者・黒田由彦による「南区の防災対策・意識の現状と課題」、本科研研究分担者・室井研二名古屋大学准教授による「避難から復興へ」であった。以上を第1部とし、第2部では避難所設置体験ワークショップを実施した。災害NPO「レスキューストックヤード」の協力を仰ぎ、「嘔吐物処理(ノロウイルス等への対応)」「段ボールベッドの組み立て」「要配慮者への介護」の3領域毎に参加した地域住民のみなさんにインストラクションを行うとともに、実際に体験してもらった。防災・減災は災害に備えてのものであるが、実際に災害が起これば、すぐに避難生活・生活再建の模索という状況に移行する。防災・減災対策はそこまで見据えたものでなければならないという考えに基づき、第2部のワークショップを企画・実行したが、住民のみなさんは極めて熱心に取り組んだ。研究成果をシンポジウムという形式でフィードバックするだけでなく、ではなにをなすべきかに関して住民活動に刺激を与えることができたと思われる。臨床社会学的実践の有効性に関して手応えを感じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)南海トラフ巨大地震による被害予想地域において行った質的調査・量的調査の成果に基づき、成果還元というねらいで防災シンポジウムを地域の諸団体の協力を得て実施すると同時に、避難所設置体験という形で臨床社会学的実践を行った。臨床社会学的実践は本研究においてもっとも重要かつオリジナルな要素である。 (2)平成29年度末には、『”防災シンポジウム 2017.5.21 in 千鳥学区”の記録』を発刊し、千鳥学区と大同大学に配布し、研究成果の地域還元を行った。同記録は研究代表者のウェブページにおいて公開されており、千鳥学区だけではなく、南区の他の調査対象学区をはじめ関心のある住民がだれでも閲覧可能である。 (3)さらに、平成27年度に実施した質問紙調査の結果を報告書概要版として発刊し、調査対象となった5学区の学区連絡協議会に配布した。これもまた、研究代表者のウェブページにおいて公開している。
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今後の研究の推進方策 |
(1)平成30年11月に千鳥学区が第3回防災シンポジウムを計画しているので、企画段階から参画し、臨床社会学的実践を昨年度に引き続いて行う。 (2)臨床社会学的実践がどの程度の効果をもっているか、効果測定を行う。ヒアリングをある程度積み重ね、必要に応じて簡易版質問紙調査を行う。 (3)平成30年度は研究の最終年度であるので、これまでの研究成果を報告書として作成する。 (4)研究成果の社会への公表として、地域の防災組織・住民組織、大同大学コミュニティ防災ラボ、名古屋大学環境学研究科および地震火山研究センター、レスキューストックヤード等の災害NPO、災害社会学者等の参加を募り、「地域社会における防災・減災の弱点とその対策ーコミュニティ防災の観点から南海トラフ巨大地震への備えを考える(仮題)」をテーマとした公開シンポジウムを行う。
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