研究課題/領域番号 |
15H03415
|
研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
松本 康 立教大学, 社会学部, 教授 (80173920)
|
研究分担者 |
西山 志保 立教大学, 社会学部, 教授 (50402087)
水上 徹男 立教大学, 社会学部, 教授 (70239226)
高木 恒一 立教大学, 社会学部, 教授 (90295931)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 創造都市 / 都市再生 / 都市政策 / 文化 / まちづくり / 脱工業化 / グローバル化 |
研究実績の概要 |
グローバル化・脱工業化に伴う都市再生戦略として、2000年以降、創造都市政策に国際的関心が集まっている。本研究では、中国・韓国の研究者と連携しながら、2004年から創造都市政策を採用した横浜市、2009年にユネスコの創造都市ネットワークに加盟した金沢市、2007年から音楽を軸に創造都市を標榜し、2014年にユネスコの創造都市ネットワークに加盟した浜松市を事例として、日本における1960年代以降の自治体政策の展開過程における歴史的位置付け、「創造都市」政策を採用している東アジア都市との比較、都市の成立基盤と産業基盤の違いによる類型的比較という3つの観点から、「創造都市」政策の意義について検証することを目的としている。 本年度は、本研究の三年目にあたり、前年度に引き続いて、横浜市、浜松市、金沢市での調査研究と日中韓の研究交流を実施した。横浜市については、2019年から2020年にかけて、ラグビーワールドカップ、東京五輪・パラリンピック、市庁舎移転が予定され、それらをゴールとして都心臨海部の整備事業やシティプロモーション事業が展開されつつある。浜松市に関しては、既存の音楽産業と創造都市政策との関連は、少なくとも産業政策としては薄く、むしろ社会包摂の観点をもつ文化政策としての性格が強いものとなっている。金沢市については、地場産業の振興、伝統工芸の継承、歴史的町並み保存、文化政策が一体的に進められ、街の価値を高めてきたものの、新幹線開通による観光客の増大が市民生活に及ぼす影響が問題化していることなどが新たに明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
横浜市の調査については、年度ごとのトピックを把握することで、継続調査の課題を順調に達成しているが、毎年新しい動きがあるために、蓄積されたデータが膨大になっており、改めて全体を見直し整理していく必要がある。金沢市については、フィールドワークのほか、政府統計についても収集が進んでおり、本格的な考察に進む段階に到達している。浜松市については、行政文書や統計データ、浜松市を対象として実施された大規模調査の報告などを収集し、分析を進めている。またこれとは別に、多文化共生に関する調査も進めており、産業構造と文化政策・多文化共生との関連を詰める必要が出てきている。中国・韓国との研究交流は、当初の想定通りに進んでおり、来年度は再び立教大学において国際シンポジウムを開催する予定である。全体としては、「おおむね順調」ではあるものの当初の想定に比べると「やや遅れている」部分があり、最終年度に向けて到達点に精粗がみられる状況にある。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、本研究の最終年度にあたり、当初の研究計画のとおり、知見の理論的整理に重点を移すことになる。そのため、理論的な観点から、データを見直すとともに、不足しているデータについては適宜、補充調査を実施して、研究のとりまとめを行う。また、東京において国際学術交流シンポジウムを開催する予定であり、研究交流についても当初の研究計画のとおり進めていきたい。
|