研究課題/領域番号 |
15H03416
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
長谷 正人 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (40208476)
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研究分担者 |
菊池 哲彦 尚絅学院大学, 総合人間科学部, 准教授 (10419252)
前川 修 神戸大学, その他の研究科, 教授 (20300254)
加藤 裕治 静岡文化芸術大学, 人文・社会学部, 准教授 (20633861)
松谷 容作 同志社女子大学, 学芸学部, 助教 (60628478)
大久保 遼 東京藝術大学, 学内共同利用施設等, 助手 (60713279)
増田 展大 立命館大学, その他の研究科, その他 (70726364)
角田 隆一 横浜市立大学, 総合科学部, 准教授 (80631978)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 映像文化 / 日常生活 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、映像技術の出現が人間の社会生活をいかに文化的に変容させたかを多角的に明らかにすることである。従来の映像研究は、写真、映画、テレビなどの諸作品をメディアごとに分析するか、それらがいかに社会を表象しているかを分析するものだった。しかし近年におけるデジタルカメラやその周辺機器の出現は、映像文化と人間との関係を変化させ、日常生活を自ら映像で記録し、保存し、インターネットを通して交換しあうといった、新しい文化を生じさせつつある。従って映像文化の分析は、人間がいかに映像を「見る」のかという従来の問題だけでなく、いかに映像を「撮る/撮られる」のかをも分析の対象に加えなければならないだろう。本研究はそうした新しい映像研究を社会学的に展開していくための、基礎的な理論研究と現状の実証的分析を目指す。 本年度は基礎理論研究班は5回の会合を開き、映像とは何かを、現実の痕跡性(インデックス性)に見る写真論的な考え方(写真論的視覚)に対して、映像が「動く」ことを基盤に見る考え方(アニメーション論的視覚)の可能性を探求するTom Gunningの諸論考を読んで議論を進めた。また遺影写真、仏像写真、版画と写真の関係など写真論的視覚に関しても2人の方から専門的知識の供与を受け議論した。 また実証研究班も5回の会合を開き、「映像文化の社会学」をめぐる教科書に関して執筆を進め、その内容に関して互いに意見を交換し、議論した。本書は2016年度中に有斐閣より出版の予定である。またこの研究をさらに進展させるために、プリクラのフィールドワークを行っている方から専門的知識の供与を受け、いま現在人びとが「撮る/撮られる」の関係のなかで形作っている新たな映像文化についての考察を深めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基礎理論班、実証研究班とも5回ずつ研究会を実施し、順調に議論を進展させている。とくに実証研究班に関しては、その成果として『映像文化の社会学』(有斐閣)を2016年度中に教科書という形で出版できるところまで来ている。本書は、今後この分野の研究を広げていくために必須の書物になると思われる。また基礎理論研究班に関しても、5回の会合を通して順調に議論を進めている。こちらの成果は、まだ時間がかかりそうだが、映像における「動き」とは何かを基盤に据えた映像理論の翻訳書を、2017年度に公刊するため準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
2015年度の研究は順調に進んだので、このまま今年度も研究を推進させていくことが重要である。各研究分担者たちは本研究に対して強い意欲を見せて臨んでおり。とくに新たな施策を必要としていない。
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