研究課題/領域番号 |
15H03417
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小島 宏 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (90344241)
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研究分担者 |
森 千香子 一橋大学, 大学院法学研究科, 准教授 (10410755)
店田 廣文 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (20197502)
竹下 修子 愛知学院大学, 文学部, 教授 (60454360)
工藤 正子 京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (80447458)
小林 敦子 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (90195769)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ムスリム・マイノリティ / ハラール食品 / 消費行動 / 関連要因 / 東アジア / 西欧 / 比較研究 |
研究実績の概要 |
本研究は、世俗化の度合いと宗教マイノリティに対する政策が異なる、東アジア諸国(日、韓、台、中)と西欧諸国(仏、白、蘭、英)におけるムスリム(イスラム教徒)・マイノリティによるハラール(宗教上、利用を許された)食品消費行動の実態と関連要因を明らかにし、比較検討することにより、ムスリムと非ムスリムの社会統合に向けての政策的含意を得ることを目的としている。 初年度は、ハラール食品消費行動とその供給に関して利用可能な内外のマクロデータとミクロデータを収集し、定量的研究を行った。また、文献収集や現地調査による定性的研究を行った。それらを踏まえ、調査票の設計とプリテストを行った。さらに、研究成果を内外で発信した。 具体的に言えば、定量的研究としては、研究代表者が2016年8月から1年間ゲント大学で在外研究を行ったことにより利用可能となった、西欧各国(仏、白、蘭、独)についてハラール食品消費の関連質問を含むミクロデータの二次分析を開始した。西欧と東アジアのミクロデータの関連部分の二次分析、文献・理論研究を踏まえ、ハラール食品消費に特化した東アジア・西欧の国際比較質問紙調査の調査票を設計し、ゲントでプリテストを行った。本調査は次年度繰越により韓国で実施した。 定性的研究としては、各国のハラール食品消費行動とハラール食品供給に関する実態・歴史に関連する文献・史料研究を行い、調査票設計や二次分析の参考とした。また、台湾では台北周辺、中国では寧夏回族自治区で面接・資料収集等を中心の調査を実施した。国内については、関東・中部地方を中心に各研究者の既存の調査地で、面接・参与観察を中心に実施した。 研究成果の発信としては、研究集会を開催するとともに、国内学会のほかアジア人口学会大会、ヨーロッパ社会学会大会等でも報告した。成果の一部はゲント大学HPにも掲載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ベルギーでの本調査実施に関して早稲田大学での科研費執行手続きとゲント大学での研究費受託手続きの間に不適合な部分があることがゲント到着後に判明した。そこで、正式な委託契約を回避するような簡便な委託方法をゲント大学側が提案してくれ、早稲田大学側でも手続きを始めたが、結局、通常の科研費執行手続きに沿わないと不可能ということで中断された。そのうち、2016年11月にパリで同時多発テロが起こり、調査環境が非常に悪化した。 そこで、調査員を正規に雇用して本調査を実施する可能性を模索するため、ゲントの人材斡旋会社に接触したところ、EU域外の早稲田大学が科研費を毎月送金する形では難しいとのことで、早稲田大学のヨーロッパ拠点の協力を要請したが閉鎖間際ということもあったためか、協力が得られなかった。そこで、急遽、以前調査委託に応じてくれた韓国の漢陽大学の研究協力者に本調査の実施を依頼したところ、応じてくれることになったため、次年度繰越の手続きをして2016年夏にソウル周辺での本調査が実現した。韓国調査の結果の第1報は、2016年10月24~28日に名古屋で開催されたInternational Metropolis Conference 2016で研究代表者が本科研費プロジェクトのメンバーの報告を集めて組織した”The Dietary Integration of Muslim Population in East Asia”と題されたパネルの中で韓国の研究協力者によって報告された。しかし、その後、データ作成上の不備が判明し、最終版のミクロデータと報告書の納入は年度末近くになった。なお、調査報告書は備考にURLがある「アジア・ムスリム研究所成果物」のホームページに掲載されている。さらに、その報告書掲載に関する情報は欧米の社会学関係の学会のニュースレター(PDF版)にリンク付きで掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
初年度からの繰越手続きによる韓国調査の実施が第2年度の2016年夏になり、ミクロデータの納入が年度末近くなり、分析開始が当初の計画より遅れている。しかし、第2年度には前倒し使用の手続きにより中国調査を実施したため、ミクロデータの納入がやはり年度末近くとなり、分析開始が当初の予定より早まっている。そこで第3年度には韓国調査と中国調査のミクロデータを併行して分析しながら比較研究を鋭意進める予定であり、遅れと早まりの併存は解消されるものと思われる。
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