研究課題/領域番号 |
15H03418
|
研究機関 | 追手門学院大学 |
研究代表者 |
蘭 由岐子 追手門学院大学, 社会学部, 教授 (50268827)
|
研究分担者 |
廣川 和花 専修大学, 文学部, 准教授 (10513096)
井上 清美 姫路獨協大学, 看護学部, 教授 (20511934)
石居 人也 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (20635776)
山田 富秋 松山大学, 人文学部, 教授 (30166722)
西尾 雄志 近畿大学, 総合社会学部, 准教授 (30434335)
田中 キャサリン 大手前大学, 公私立大学の部局等, 講師 (50740049)
坂田 勝彦 東日本国際大学, 健康福祉学部, 准教授 (60582012)
中村 文哉 山口県立大学, 社会福祉学部, 教授 (90305798)
荒井 裕樹 二松學舍大學, 文学部, 講師 (90749847)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | ハンセン病 / 療養所入所者 / 戦後療養所 / アーカイブズ / ライフストーリー |
研究実績の概要 |
本年度は、おもにA療養所自治会所蔵の史資料の目録作成、研究会をメンバー協同で行った。昨年度、完成をみたとおもわれた史資料の目録を精査した結果、いまだ未完成の部分があったため、その再調査をおこなった。夏の研究会では、ハンセン病を主題にした新刊書2冊についての合評会、ある病者の遺品にあった療養所内集合実践に関する資料の分析についての報告が行われ、未刊行史資料の取り扱いとその解読可能性についての議論がなされた。春の研究会では、詩人大江満雄と各療養所の詩人との交流について書かれた著作の合評会、戦後の思想潮流のひとつであったウーマンリブ運動における優生保護法批判に関する報告、戦前期ハンセン病文学についての研究構想についての意見交換が行われた。 メンバー個々には、沖縄県の回復者へのインタビュー調査、それにもとづく社会復帰問題についての研究会報告、戦前期の奄美のハンセン病問題についての考察とその学会報告、「救らい思想」やハンセン病臨床医に関する学会報告、史料紹介、社会運動論の観点からハンセン病問題の関与者の問題についての理解過程を検討した学会報告が行われた。また、近年のハンセン病史研究に関する研究成果を踏まえての研究史整理、そして、上述の療養所自治会所蔵資料の目録化とも関連してアーカイブズの方法論についての検討も行われた。さらに、研究会・学会報告や論文執筆までは至っていないが、療養所における集合的実践の歴史的検討として、盲人組織の活動についての調査・分析および支援者に関する史資料収集を行っている。その他、笹川記念保健協力財団の第5回人類遺産世界会議や課題設定による先導的人文学・社会科学研究推進事業「医学史の現代的意義」主催の企画など、ハンセン病をめぐる諸企画に複数のメンバーが参加した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度完成を見たと思われた療養所自治会所蔵史料の目録の不備が見つかり、再調査をしたため、内容の検討にまで入れないでいることがもっとも遅れている理由である。それは、メンバーの多忙さゆえのことでもあるが、先方の自治会担当者とこちらの作業日程の調整があわなかったことも一因である。自治会の実務を司るのが会長のみであるという療養所の「現在」のあらわれでもあるといえよう。 また、保健師の研究については、その担当メンバーのおかれた状況と、ハンセン病問題に関与したことのある保健師の少なさという絶対的な条件のために、調査が遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
自治会所蔵史料について、目録を活用して精査し、今度はその内容分析に入っていきたい。また、当該療養所のモノグラフを作成することを念頭に、療養所におけるフィールド調査にも着手したい。また、保健師の研究については、アプローチの方法を考え直し、文献検討や保健師以外の実務者まで対象を広げていくことにしたい。
|