本研究の目的は、自らの意思を明確に示すことが困難な障害者に対するケアマネジメントにおける意思決定支援プログラムを事例分析および相談支援専門員(障害者ケアマネジメント従事者)調査により構築することである。2017年度は、2016年度で得られた知見に基づいて引き続き次のテーマの研究課題を推進した。 「本人参画のチームアプローチに焦点をあてた意思決定支援過程に関する研究」では、支援者から提案された生活課題にある背景や、本人がなぜそのような行動をとっているのか、というメカニズムが推論され、その推論のもとで本人との対話がすすみ、課題の構造が整理されてきた。「相談支援専門員による知的障害者を対象とした意思決定支援についての研究」では、相談支援専門員の面接データを厚生労働省・意思決定支援ガイドラインの原則と対照させながら知見を整理し、ガイドラインの記載事項の重要性を確認することができた。「南オーストラリア州における支援付き意思決定支援におけるファシリテーター養成プログラムの検討」では、この意思決定支援モデルでは、このExpressed Wishについて意思決定者(障害当事者)を中心として形成されたチームでその実現に向けた取り組みで大切なことは意思決定者の表出意思を尊重することであり、そのことを軸にして意思決定支援が展開されていくことが示された。「市民後見事務の現状分析に関する研究」では、「医療」「介護」の後見事務事項で、市民後見人が医療・施設関係者から説明を受け、各方面と相談するといった活動に時間を割き関与をしたかが重要なことが示された。「ストレングスモデルにおける意思決定支援の考え方と進め方」では、ストレングスモデルに基づいた研修で得られた知見としては、モデルの有効性に前提には、利用者の意思決定に関する潜在力への信頼があり、相談支援専門員と障害者との信頼関係づくりの重要性が示された。
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