平成27年度から3年間の研究を終えた。最終の29年度は、研究計画通りに、質的調査として9月にドイツ連邦共和国、ポーランドを実施することができた。ドイツではマインツ市を中心に行政機関と民間団体を訪問し、子どもの貧困に関する資料収集とインタビュー調査を実施した。ケルン市・ボン市においてもNPO団体訪問し、資料収集とインタビュー調査をした。ベルリン市でもNPO団体関係者とのインタビュー調査を実施し、民間団体活動の重要性を認識することができた。またポーランドでは、本研究の「福祉関連QOLとは何か」の原点の問いを最終的に追求するため、人類が残した汚点である残虐行為・戦争犯罪の跡地を訪問した。またドイツでの福祉関連QOLを歴史的に遡って考えるためにも、宗教・文化の視点は避けられないことから、500年前の宗教改革に関する足跡を訪問した。これらの訪問後に収集した資料や文献を通じて、福祉関連QOLについて考察することができた。 最終年度は、これまでの子どもの貧困問題と福祉関連QOLのあり方をねらいとした研究実績について見直した。具体的には、これまでの韓国、台湾、イギリス、ドイツ、フランス、アメリカ合衆国、そして日本でのインタビュー調査法による質的調査結果の点検をおこなった。また日本、台湾、韓国での量的調査についての研究成果の見直しをした。いずれも関係する研究者また団体関係者の協力を得て、確認することがことができた。 以上の研究成果として今年度に『世界の子どもの貧困対策と福祉関連QOLー日本、韓国、イギリス、アメリカ、ドイツー』を出版することができた。各国とも貧困の再生産を止めるには「教育」が最も重要であることを前提としていた。また各国は、就学前支援、若者支援、家族支援のあり方に相違があることが判明した。国際集会として国際ソーシャルワーク学校連盟会長を講師に迎えて講演会を実施した。
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