研究課題/領域番号 |
15H03440
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
岡田 まり 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (40309076)
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研究分担者 |
片岡 靖子 久留米大学, 文学部, 准教授 (30389580)
野村 豊子 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (70305275)
潮谷 有二 長崎純心大学, 人文学部, 教授 (90285651)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ソーシャルワーク / 社会福祉士 / スーパービジョン |
研究実績の概要 |
本研究では、前半2年間でプログラムを開発し、後半2年間でその効果測定を行ってプログラムをより効果的で運用しやすいものへと改善することをめざしている。2年目となる平成28年度は、これまで開発した社会福祉士のスーパーバイザー養成プログラムを実施して、そのプロセスと結果について評価した。 プログラムは、事前研修とスーパービジョン実践から構成されており、それぞれ2回ずつ実施した。1回目の事前研修「上級スーパーバイザー養成研修」では、スーパービジョンについての見識と経験が豊かな研究者9名にプログラム受講を体験してもらい、プログラムについての意見をフォーカス・グループインタビューにより聴取した。その意見やこれまで得られた知見を参考にして、事前研修に新たな演習を追加してプログラムを再構成した。2回目の事前研修については、まず社会福祉士対象に「スーパーバイザー研修」を開催し、その受講者のなかから研究協力に同意した18名を対象に、再構成したプログラムを実施した。参加者によるプログラムの全体評価は5段階のうち平均4.65と高く、事前研修については概ね基本形ができたといえる。 スーパービジョン実践については、研究班が企画し、講師・スーパーバイザーも務める「更新スーパービジョン:集合研修方式」(認定社会福祉士認証・認定機構主催)を2回実施した。事前研修を受講した研究者(計15名)にスーパーバイザーを依頼し、終了後にはフォーカス・グループインタビューを行って、この方式やスーパービジョンについての意見を聴取した。また、グループ・スーパービジョンの導入を視野に入れてモデル事業を実施し、課題の整理を行った。 以上のプログラム実施を通して得られた情報をもとに、プログラムの内容や方法について修正を行い、これから行うプログラム評価の準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画どおり、プログラム(事前研修、スーパービジョン実践、グループ・スパービジョンのモデル事業)を2回ずつ実施して評価・修正することができた。 ただし、スーパービジョン実践に関しては、制度上の制限および実践上の課題により、当初予定していたように、現任の社会福祉士を対象として実施することができなかった。しかし、課題が明確になったことにより、今後の取り組みの方向性についての検討を十分に進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
スーパーバイザー養成プログラムの開発にあたっては、プログラムの内容・方法だけでなく、いかに普及させるかも重要である。そのための準備として、スーパービジョンの実態把握のため、自記式質問紙を用いた郵送調査を二つ実施する。一つは認定社会福祉士制度に登録しているスーパーバイザーを対象とするもので、もう一つは、認定社会福祉士制度のスーパービジョンを受けている(受ける可能性のある)社会福祉士を対象とするものである。これらの調査を通して、現時点でのスーパービジョンの実施状況、スーパービジョンについての認識、スーパービジョンに関わる社会福祉士のニーズ、スーパービジョンの普及に向けて取り組みが必要な課題を明らかにし、スーパーバイザー養成プログラムの改善と普及に役立てる。 また、これまで開発してきたプログラムの仕上げを行い、プログラム評価を行う。まず、これまでのプログラム実施のプロセスと結果について見直し、最新の知見、郵送調査の結果を加味してプログラムと評価指標を完成させる。そして、福祉現場においてスーパービジョンを行うことが期待される立場にある社会福祉士で、本研究の趣旨を理解し、研究協力に同意する人を対象に、プログラムのなかの事前研修を2回実施する。スーパービジョン実践については、事前研修受講者を対象として、まず模擬スーパービジョンを実施する。実施の事前事後および次年度に評価指標を用いた量的データを収集するとともに、実施後にフォーカス・グループインタビューによる質的データも収集してプログラムの効果について評価する。 さらに、グループ・スーパービジョン導入およびスーパーバイザーのサポートシステム構築についても検討を継続する。
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