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2016 年度 実績報告書

国際・多文化ソーシャルワークにおけるCBPRの有効性に関する実践的研究

研究課題

研究課題/領域番号 15H03441
研究機関関西学院大学

研究代表者

武田 丈  関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (30330393)

研究分担者 MENSENDIEK M  同志社大学, 社会学部, 准教授 (00288599)
榎本 てる子  関西学院大学, 神学部, 准教授 (60509909)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードエンパワメント / CBPR / 参加型アクションリサーチ / 母子保健 / フィリピン / アドボカシー / HIV/AIDS / 外国人
研究実績の概要

本研究は、多文化化が進む日本社会で関心の高まる国際・多文化ソーシャルワーク(SW)の領域でも特に多様な問題を抱えやすく脆弱性の高い多文化のルーツをもつ母子に注目し、研究手法としてCBPR (community-based participatory research=コミュニティを基盤とした参加型リサーチ)を用いることによって、こうしたコミュニティの抱える固有の課題を明らかにするだけでなく、そのプロセスを通したこうしたコミュニティや組織のエンパワメント、研究成果を活用したニーズに対応したサービス設置を訴えるアドボカシー活動の展開、そしてこうしたアクションの評価を当事者参加型で継続的に実施することで、CBPRの国際・多文化SWにおける有効性を確立していくことを目指す。具体的には、日本とフィリピンで4つのCBPR(①外国人母子保健(日本)、②外国人女性HIV陽性者(日本)、③日比国際児(フィリピン)、④日比国際児の母親(フィリピン)を実施した。①の外国人母子保健(日本)の調査では、フィリピ人の母親を対象に質問紙調査を実施した2015年度に続き、2016年度は韓国人と中国人の母親への質問紙調査を実施し、合計76名からデータを収集した。②の外国人女性HIV陽性者に関する調査では、これまでにタイ、インドネシア、モンゴル、中国、台湾、コンゴ共和国の6名の女性陽性者にインタビュー調査を行った。。③と④のフィリピンでの調査では、エンパワメント評価の手法を用い、2015年度に策定したアクションプランを実施するとともに、1年経過した時点で振り返りのワークショップを実施し、1年間の活動を参加型の手法で評価するとともに、今後の1年間のベンチマーク設定と具体的なアクションプランを策定した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

①の外国人母子保健(日本)の調査については、この2年間で合計76名のフィリピン、韓国、中国人の母親からデータを収集するとともに、外国人母親にサービスを提供する保健師に対する質問紙調査のための質問票を作成した。②の外国人女性HIV陽性者に関する調査では、フォーカスグループディスカッションおよび個別インタビューを通して、タイ、インドネシア、モンゴル、中国、台湾、コンゴ共和国の6名の女性陽性者にインタビュー調査を行った。こうした聞き取りから明らかになったことは、日本の社会福祉制度を知らなかったため「制度が存在するので心配しなくて良いと言われても信じられなかった」経験や、日本で治療を継続したいと考えるがそのためには在留資格を更新することが必要であり、条件を満たさないと日本に滞在できない外国人の在留資格の問題が健康にも影響しているといったことである。フィリピンにおける③日比国際児グループと④日比国際児の母親グループとのCBPRでは、スケジュール通り2015年度にエンパワメント評価の手法を用いてベースライン調査を実施するとともにアクションプランを策定し、2016年度はそのモニタリングを継続的に行うとともに、1年の振り返りと、今後の1年間のアクションプランを策定することができた。

今後の研究の推進方策

①の外国人母子保健(日本)の調査については、母親のデータの分析を行うとともに、外国人母親にサービスを提供する保健師に対する質問紙調査を実施して分析する。そして、この両方の調査結果を基に、国内の外国人母親が必要とするサービスの設置を訴えるアドボカシー活動を展開するとともに、パイロット事業の立ち上げを検討する。②の外国人女性HIV陽性者に関する調査では、これらの女性たちとのワークショップによるアドボカシー活動の一環として、女性たちの声、そこから見える課題、対応方法、社会リソースの紹介、医療従事者の声を載せた冊子の作成を行う。③日比国際児グループと④日比国際児の母親グループとのCBPRでは、2年目経過時点での評価をエンパワメント評価の手法を用いて実施するとともに、今後のアクションプランを策定する。
そして、最終年度ということで、この3年間の4つのCBPRの活動を通して、それぞれの参加者たちが個人レベルおよび組織レベルでどのようにエンパワメントを達成したかを、質的および量的の両方の手法を用いて評価していく。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (5件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 平和とキリスト教と社会福祉 ー そのラディカルな使命 ー2017

    • 著者名/発表者名
      マーサ・メンセンディーク
    • 雑誌名

      キリスト教社会福祉学研究

      巻: 49 ページ: 7-15

  • [雑誌論文] 福島から多様性を考える2017

    • 著者名/発表者名
      マーサ・メンセンディーク
    • 雑誌名

      Glove

      巻: 88 ページ: 14-15

  • [雑誌論文] キリスト教主義大学におけるLGBT学生に対する人権保障の取り組みに関する調査2017

    • 著者名/発表者名
      榎本てる子・岡嶋宙士・工藤万里江
    • 雑誌名

      関西学院大学人権研究

      巻: 21 ページ: 1-14

  • [雑誌論文] 多様性の尊重とソーシャルワーク:人権を基盤としたアプローチ2016

    • 著者名/発表者名
      武田丈
    • 雑誌名

      ソーシャルワーク研究

      巻: 42(2) ページ: 74-86

  • [雑誌論文] 2015年度学会回顧と展望 国際部門2016

    • 著者名/発表者名
      マーサ・メンセンディーク、郭芳
    • 雑誌名

      社会福祉学

      巻: 57(3) ページ: 241-255

  • [学会発表] Empowering and Advocating War Survivors Using Photovoice2016

    • 著者名/発表者名
      Joe Takeda
    • 学会等名
      HDCA (Human Development and Capacity Association) 2016 Conference
    • 発表場所
      Hitotsubashi Univ., Tokyo
    • 年月日
      2016-09-01 – 2016-09-03
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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