研究分担者 |
中島 健一郎 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (20587480)
柳澤 邦昭 京都大学, こころの未来研究センター, 特定助教 (10722332)
増井 啓太 追手門学院大学, 心理学部, 特任助教 (00774332)
川本 大史 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員 (50761079)
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研究実績の概要 |
2016年度の研究実施計画では(1)関係への所属の存在論的機能、(2)所属の存在論的機能と社会的温かさとの関連、(3)他者との関係と他の資源との代替可能性の3点について検討することとしていた。 (1)については、存在脅威管理理論の観点から神経科学的な手法を使って検討した(Yanagisawa, K. et al. 2017)。人は一般に死をプライミングされた時、自らの文化的価値観に批判的な他者への評価を下げる傾向にある。しかしながら、相互依存的自己観を持つ者においては、死がプライミングされた場合でもこの評価の低下が抑制されること、そしてその過程には右腹外側前頭前野(rVLPFC)の賦活が媒介していることが示された。 (2)については、まず、冷たさに対する評価と調整という2側面で捉える必要性を指摘した(川本・浦・吉本・開, 2016)。その上で、居住地の寒さ-温かさと個人の冷たさ調整が孤独感ならびに存在の有意味性とどのように関連するかについて分析した。寒い地域に住む人びとのうち冷たさ調整得点が低い者は孤独感が高く、存在の有意味性が低いことが示された(浦・川本,2016)。 (3)については、個人の好奇心(Kawamoto, T., Ura, M., & Hiraki, K., 2017a,b;川本・浦・開,2016)、社会経済的地位(中島・蔵永, 2016)が代替可能性を持つことを確認した。 これらの検討の他にも、本研究課題をさらに発展させる方向性について探索的な検討を行った。親からのサポートが子どものエラーへの反応に及ぼす影響(Kawamoto, T., & Hiraki, K., 2017)、居住地の寒さ-温かさが反社会的パーソナリティを持つ人びとの向社会性を調整すること(Masui, K. & Ura, M., 2017)が示された。
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