文部科学省の不登校追跡調査によると、不登校経験者の高校進学状況が大きく改善された。しかし一方、中学卒業5年後においても人間関係や生活面、学力面での不安を抱えるものが多く、不登校支援のゴールである“社会的自立”が先送りにされている現状が明らかになった。本研究では、高等学校に焦点を当て不登校や中退の現状を明らかにした上で、不登校経験者に必要とされる“社会で生きていく力”の獲得を支援するメカニズムについて検討した。それと同時に、先進的な取組をしている高等学校の視察を行い、その教育的効果について検討を行った。 高校段階の不登校についての調査研究は、論文6本、学会発表4本、著書2本にまとめた。また、不登校を受け入れるさまざまな高等学校(とりわけ特徴的な教育を展開しているのが通信制高校であり、広域通信制高校を対象とした調査も数多く実施した)の特徴については、現地まで足を運び視察を行い、その内容を中心に本にまとめることができた。 高等学校段階の不登校支援は、さまざまな学校で進められており、その特徴や成果と課題については、上記の論文等にまとめることができた。また現在、執筆が進んでいる著書(『今あらためて不登校を考える(仮)』ミネルヴァ書房)では、高等学校段階における不登校の特徴と支援の実際について執筆している。今回の調査研究や視察の成果については、今後も、執筆を進めていく本の中で書いていく予定である。
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