研究課題/領域番号 |
15H03456
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
田中 共子 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (40227153)
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研究分担者 |
奥西 有理 岡山理科大学, 工学部, 准教授 (50448156)
畠中 香織 同志社女子大学, 看護学部, 助教 (40756227)
李 正姫 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (10747984)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 異文化間ソーシャルスキル / 異文化適応 / 留学生 / 在日ムスリム / 在外日本人 / 異文化間対人関係形成 / 対人行動上の困難 / 心理教育 |
研究実績の概要 |
急速なグローバル化の中で、健康心理学も国内向けの健康指導に閉じてはいられず、国境を越えた流動性の中でどう健康を保つかという新たな課題が生じている。本研究は、ソーシャルスキルの異文化適応促進仮説に注目し、対人関係の形成・維持・発展の要領を異文化間ソーシャルスキルとして捉える。そして異文化圏での対人行動の学習を実用化し、サポート源を確保するための心理教育を構想することを目指している。具体的には、学際的発想を用いて、認知行動療法の手法を健康教育に使い、心理教育的セッションを創出したい。世界各地の文化と日本文化との多様な対比を視野に入れて、日本との文化間距離を異にする複数の文化に焦点を当て、それらを持つ人との対人交流に理論と実践の両面からアプローチしている。 今年度の主な対象地域は、中国、ブラジル、インドネシア、フィリピン、英国、フランス、イスラム圏である。滞在者カテゴリには留学生、職業人(医療、教育)、移住者、帯同家族が含まれる。在外日本人が現地の人と交流する場合と、在日外国人が日本人と交流する場合を対象に、双方向型で多地点型のパラダイムによる総合的研究の途上にある。 初段階として異文化滞在者を対象に、対人行動上の困難と社会生活上の困難、その対処方略、および対人関係形成に用いられる要領や工夫を調べた。その分析から、異文化間対人関係形成に効果的な対人行動に基本カテゴリを抽出し、異文化間ソーシャルスキルへの示唆を得ている。また交流相手の文化によるソーシャルスキルのスイッチング現象を解き明かし、複数の文化行動をどのように選択するかという機序を探って、スキルの運用面の知見を集めた。社会文化的適応の背景には、文化的バランスポイントの設定を含む異文化滞在スタイルの選択が想定される。心理教育的セッションの枠組みモデルに基づき、異文化間ソーシャルスキル学習の前段階に位置する認知学習の教材を試作した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象地域の社会事情や調査協力者の環境によって、調査計画に多様性が生じ、地域の選択と実施時期が調整されている。これは実態に合わせたためであり、現実的な展開といえる。
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今後の研究の推進方策 |
対象地域と対象者を拡大していく。質的手法を用いた探索的研究で仮説生成を試みる段階の次は、質問紙法を用いたモデル検証を経て、教材構成と試行的な実験的セッションへと進展を図り、認知行動的な心理教育的セッションへと統合していきたい。
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