研究課題/領域番号 |
15H03458
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研究機関 | 関西福祉科学大学 |
研究代表者 |
山田 冨美雄 関西福祉科学大学, 心理科学部, 教授 (50183687)
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研究分担者 |
島井 哲志 関西福祉科学大学, 心理科学部, 教授 (30136973)
大野 太郎 大阪人間科学大学, 人間科学部, 教授 (40368410)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | PTG / PTGI-j / 阪神淡路大震災 / レジリエンス / 主観的幸福感 / 自己効力感 / 楽観性 |
研究実績の概要 |
阪神淡路大震災(1995年1月17日発生)の被災者を対象として、21年たった現在の様子を面接によって聴き取り調査をおこなった。さらに、H27年度に実施したWeb調査によりPTGを数量的に把握する21項目から成るPTGI-j(宅,2000)の詳細な分析を行った。PTGI-jは想定された4因子の同定が困難であったので探索的因子分析により17項目から成る1因子構造の尺度を構成した(クロンバックのα=0.978)。17項目からなるPTGI-j(17)の合計得点の対数変換値は、正規分布型を呈し、レジリエンス尺度(r=.156)、主観的幸福感尺度(r=.202)、楽観性尺度(r=.276)、自己効力感尺度(R=253)との間に有意な正相関を示した。これよりPTGI-j(17)の尺度としての信頼性と妥当性が立証できた。 また同尺度は年齢とは相関がなく、女性は男性より高いことを示唆する結果が得られた。また、喫煙者グループよりも禁煙を指向し禁煙準備にかかるグループのPTGI-j(17)得点は有意に高かったことから、PTGは健康行動を促進することが推測された。 一方、平成28年度には、阪神淡路大震災被災者に加えて東日本大震災被災者と熊本地震被災者をも対象者に加え、PTGI-j(17)の適用を試みる目的で、Web調査を実施した。男性814名、女性833名を対象とした同調査結果は、現在詳細を分析中である。結果の概要はH27年度の結果と類似しており、震災体験を重大なイベントであると認識した対象者ほどPTGI-j(17)の合計得点は高いことが示された。 さらに、阪神淡路大震災当時の被災児を対象とした聞き取り調査時に、PTGI-j(17)を用いてPTGの有無と程度を評価を継続しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は概ね当初の計画に近い形で発展している。すなわち、 (1)PTGを客観的・数量的に評価をするための尺度として17項目で構成されるPTGI-j(17)の標準化がすすみ、その信頼性と妥当性が認められた。 (2)阪神淡路大震災発生時の児童で現在成人となった人々との面接数を増やしつつ、その対象者へのPTGI-j(17)の適用が可能になった。 (3)ホームページ上で研究成果を公開するとともに開発した尺度を公開し、面接対象者以外の被災者集団もPTGI-j(17)を用いた評価が可能になったことである。
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今後の研究の推進方策 |
都合2回にわたるWeb調査の結果をまとめ、PTGI-j(17)の得点に寄与する特性要因のモデル化を試みる予定である。また阪神淡路大震災のみならず、他の震災の被災者についての資料を比較することにより、被災時の心身の健康状態や被災状況、その後の体験などとの関係について詳細な考察ができると期待している。
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