研究課題/領域番号 |
15H03459
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
津田 彰 久留米大学, 文学部, 教授 (40150817)
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研究分担者 |
内村 直尚 久留米大学, 医学部, 教授 (10248411)
矢田 幸博 筑波大学, 学内共同利用施設等, 教授 (60751790)
岡村 尚昌 久留米大学, 付置研究所, 助教 (00454918)
田中 芳幸 京都橘大学, 健康科学部, 助教 (50455010)
堀内 聡 岩手県立大学, 社会福祉学部, 講師 (20725999)
松田 英子 東洋大学, 社会学部, 教授 (30327233)
津田 茂子 茨城キリスト教大学, 看護学部, 教授 (20197700)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 自己認識のポジティビティ / ストレス評価の信念 / ストレス-コーピング過程 / ウェルビーイング / メンタルストレステスト / コルチゾール / 眠りモニター / 健康心理学的研究 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,自己認識のポジティビティ(自分を肯定的に評価したり,ポジティブな感情とネガティブ感情のバランス体験を保ったりする心の特質)とストレス評価の信念(ストレスの存在や影響性を見積もる個人の態度)がストレス過程(ストレッサーの認知とコーピングが健康-病気の結果に及ぼす一連のプロセス)にどのような影響を及ぼしているのか,その生物心理社会的機能の解明を目指す実証的研究とこれらのポジティビティ心性を高めるストレスマネジメント行動変容の介入実践を統合した健康心理学的研究を行うことにある。 今年度は,1)自己認識のポジティビティとストレス評価の信念を包括的に評価できる尺度の検討を行い,2)ストレス過程におけるこれらのポジティブ心性の作用機序を,フィールド観察‐実験科学を統合したアプローチによって,統合心理生理学的な視点から明らかにすることを目指した。その結果,自己認識のポジティビティとストレス評価の信念は,1)「いきいき度質問表」(津田・田中, 2009),「主観的幸福感尺度」(島井ら, 2004),「心理的ウェルビーイング尺度」(西田, 2000),「ストレスの過小評価の信念尺度」(井澤ら, 2013),「Stress Mindset Measure」(Crum et al., 2013),「Positivity Scale」(Vittorio et al., 2012)などの項目で評価できること,2)ストレッサーに対するコントロールの認知的評価を介して発動される問題焦点型コーピングと情動焦点型コーピングによって強められたり,ポジティブおよびネガティブな自動思考に影響を受けたりすること,3)指動脈拡張能検査によって測定される血管内皮機能や眠りモニターによって評価される睡眠の質,メンタルストレステストによって誘発されるコルチゾール分泌の減弱と関連していることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
自己認識のポジティビティとストレス評価の信念の個人差を統合生理心理学的な視点から解明するために、実験室でメンタルストレステストを負荷したときの生物心理ストレス反応を測定することとしていた。しかしながら、連続血行動態を評価できるPortapres(米国からの輸入であり、Finapres Medical System社からの納入が遅れた)と瞳孔対光反応(縮瞳率)測定装置(製造元の浜松ホトニクスでの生産が注文の増加に追いつかない状況が続いたため)の納期が遅れたため、自律神経系の変化を検討する実験系の確立が遅れ、脳-心臓相関が十分に検討できなかっため。
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今後の研究の推進方策 |
世界標準のメンタルストレステストであるTrier Social Stress Test(対人的緊張を喚起するスピーチ課題と暗算課題)を施行する実験スタッフの育成システムが機能するようになったので、質問紙によるフィールド観察と実験科学の統合的アプローチを推進して、自己認識のポジティビティとストレス評価の信念の個人差を左右する生物心理学的基礎過程を明らかにする。 と同時に、自己認識のポジティビティとストレス評価の信念を測定できる尺度の信頼性と妥当性の検討に加えて、標準化の作業を進めることで、心理社会的属性の異なる多様な対象者の比較を可能にする。
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