研究課題/領域番号 |
15H03477
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
サルカルアラニ モハメドレザ 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (30535696)
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研究分担者 |
石井 英真 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (10452327)
服部 美奈 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (30298442)
久野 弘幸 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (30325302)
坂本 篤史 福島大学, 人間発達文化学類, 准教授 (30632137)
柴田 好章 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (70293272)
中島 繁雄 帝京大学, 教育学部, 教授 (90711680)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 授業実践学 / 授業研究 / 比較授業分析 / ペダゴジー / 改善の科学 |
研究実績の概要 |
平成28年度、今までの研究発表・報告で検討したグローバルな現代社会における授業実践学のための「国際比較授業分析」の可能性に基づき、授業実践の文化的基底(Cultural Foundation)の様相について、synthesis researchを用いたメタ分析的手法により多面的に検討・考察した。授業実践学(ペダゴジー)には、教えることの原理的な追究と、具体的かつ現実的な授業実践の可能性とを統合することが学問的に求められる。そのため、授業の事実(エビデンス)に基づく国際比較授業分析により、ペダゴジーの背後にある文化的基底の様相とその機能の解明を進めてきた。これまでの結果から、例えばシンガポールは子どもに対し、ビジネススキルを育てようとする傾向が強いが、イランは学問を教えるという傾向が強い点が示され、一方で、日本は、子どもを重視している点が示された。特に日本は子ども同士の横のつながりの強さを歴史的に保持していることが本研究からも示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究を計画通り実施した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究結果から、授業の事実の背景をより深く省察し、「文化を超えた学習」の可能性を示してきた。また、これらの研究をさらに進めるため、複数の国際比較授業分析の結果を、第三者がメタ分析的に総合することで、文化的基底を捉えるための枠組みを提示し、ペダゴジーの文化的基底を多面的に検討・分析する。まず、海外の授業記録と事後の検討会の内容を整理・分類し、授業の特徴を明らかにする。そして、各国の授業記録に基づく比較授業分析会を日本で行い、日本の教師・研究者の目(レンズ)から各国の授業を検討・分析する。比較授業分析の結果に基づき、例えば、コミュニケーションスタイル、知識活用、授業法、授業技術、授業形態、授業規律の違いや板書・電子黒板などの効果を明らかにする。さらに、日本の授業を海外の授業と比較分析する上で、教師の授業観・授業の文化的スクリプトの複合的構造を明らかにし、ここまでの研究結果と考察をメタ分析する。また、各国の学校での個別の教師・管理職へのインタビュー調査などを基づく、学習デザイン、授業観、教授法、教師観、教授技術などを基礎とした研究から、授業実践の背後にある心象、価値観、信念や習慣化された行動様式、およびそれらの相互関連の構造を明確した上で、授業実践学(ペダゴジー)の構築を検討する。研究成果を国内学会と国際学会で発表する。
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備考 |
受賞:Sarkar Arani Mohammad Reza(2016年6月) OUTSTANDING PAPER AWARD, UK: Emerald Literati Network(エメラルド出版社の賞).
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