研究課題/領域番号 |
15H03509
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐島 毅 筑波大学, 人間系, 准教授 (20241763)
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研究分担者 |
小林 秀之 筑波大学, 人間系, 准教授 (90294496)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 盲幼児・児童 / 発達段階 / 教材・教具 |
研究実績の概要 |
全国盲学校等,10カ所における盲児用自作教材・教具について実地に調査し発達的観点から分析を行い,触運動感覚で知覚しやすい条件として教材の疎密性や空間軸を規定するための「枠」や向きを知覚しやすい教材(形・厚さ・重さ等),教材の固定や指導時の姿勢の重要性等が示された。また,指導法の観点として,1試行錯誤による発見を大切にしたかかわり方・援助の姿勢,2成功経験か失敗経験かではなく,間の能動性に基づく試行錯誤(行きつ戻りつ)の感性の重要性,3初めての教材による学習においては動作を手取足取り創ることの重要性,4全ての教材教具を用いた指導において点から線、線から面、面から立体へと手「考える手」に思考の過程を捉えることの重要性を考察した。 上記で得られた自作教材教具およびこれまでの研究の蓄積資料について、以下の「認知発達の5段階」(佐島、2011;佐島、2006)の観点(意図-行為学習期(0:0~0:10),手段―目的学習期(0:10~1:6, 弁別学習期(1:6~2:6),平面構成学習期(2:6~4:6),立体構成学習期(4:6~6:0))から、発達順序性に沿って教材・教具を分類・整理した。分類・整理は、盲幼児、盲・知的障害児の発達臨床を行い、発達的観点を熟知した大学教員・大学院生及び学生計6名によって行った。 また,認知発達の段階に応じた触運動感覚教材の試作・開発研究として,1手段―目的学習期の水平面触空間における探索教材(玉落とし教材),2平面構成学習期の正方形平面構成学習教材,3立体構成学習期のブロック構成摸倣課題の検討・試作を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度実施計画の盲学校における盲児用自作教材教具と指導実践に関する研究について進展があり、既に「認知発達の5段階」の仮説に基づく分類および学会発表等の成果を得ている。この成果を踏まえて平成28年度に予定しいる「認知発達の段階に応じた触運動感覚教材の試作・開発研究」の一部を,前倒しして実施した。具体的には,1手段―目的学習期の水平面触空間における探索教材(玉落とし教材),2平面構成学習期の正方形平面構成学習教材,3立体構成学習期のブロック構成摸倣課題の試作を試作・開発を行った。 以上より,当初計画以上に研究は進展している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,以下の研究について実施をしていく。いずれの研究も,全国の盲学校の協力を得て実施する予定である。 1 認知発達の段階に応じた触運動感覚教材の試作・開発研究:認知発達の5段階に応じた触運動感覚教材を各段階1~2種類、計9種類を中核触運動感覚教材として選定し、さらにそれぞれについて発達的系統性から3~5課題の教材を試作・開発する。 2 触運動感覚教材における課題の発達的順序性に関する検証研究:開発した教材について,全国盲学校の盲幼児・児童、盲・知的障害児を対象で各教材の課題の発達的順序性を検証する。対象は、各課題とも課題理解が可能な盲幼児・児童、盲・知的障害児30~50名程度を予定している。具体的実施手続きは、教材を10セット作成し、研究の実施協力が可能な盲学校8校程度を選定して、教材を送付して実施してもらう予定である。 3 指導モデルを構築のための実践事例集約による帰納的研究:全国10カ所程度の盲学校に教材ともに配布し、各校から3~5名程度の指導実践事例の資料を収集する。なお、認知発達の5段階全ての教材について事例研究を依頼する盲学校は在籍幼児・児童数の多い1~2校とし、他の盲学校は在籍幼児・児童の実態に応じて特定の発達段階について事例研究を実施してもらう予定である。
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