研究課題/領域番号 |
15H03513
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
小枝 達也 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, こころの診療部, 統括部長 (70225390)
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研究分担者 |
井上 雅彦 鳥取大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20252819)
前垣 義弘 鳥取大学, 医学部, 教授 (80252849)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 視覚選好性 / 早期発見 / 1歳6か月児健診 |
研究実績の概要 |
目的:視覚選好性を活用して自閉スペクトラム症(以下ASD)の幼児を早期発見するための方法を開発する。 対象と方法:1歳6か月児健診を受けた2482名の幼児の中で、言葉の遅れ、視線の合いにくさ、指示の入りにくさ、多動など発達上の問題を指摘された2歳幼児116名を対象に、言語発達に遅れのない自閉スペクトラム症のスクリーニングに関するコホート調査を実施した。対照群はエコチル調査参加の2歳児127名とした。2歳でGaze Finder(JVC KENWOOD社製、以下GF)を用いて視覚選好性注視点計測を行い、5歳で診察を実施して神経発達症等の診断を行った。ASDの診断はICD-10に依った。 結果:対象群では116名のうち94名(81.0%)が5歳での診察に参加した。7名が言語発達の遅れがあるASD(ASD1群)で、13名が言語発達に遅れのないASD(ASD2群)と診断された。非ASDは74名(非ASD群)であった。 GFの結果では、人物と幾何学図形の画像でASD2群が非ASD群および対照群よりも幾何学図形を好んで見るという結果であった(ともにp=0.000)。対象群の非ASD群に対するASD2群のスクリーニングは感度81.8%、特異度73.1%であった。対照群に対するASD2群のスクリーニングの感度は90.9%で特異度は86.8%であった。 結論:GFを用いた視覚選好性注視点計測は、1歳6か月児健診で発達上の問題を呈する幼児の2歳時点における健診において、言語発達に遅れのないASDのスクリーニングに有用である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4年間のコホート調査であり、5歳でアウトカムを見る計画で調査を進めてきた。捕捉率を80%程度と見積もっていたが、116名のうち94名のデータを収集することができた。捕捉率は81%で概ね計画通りであった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、補充的に加えた5名のアウトカムに関するデータ収集を行うこと、および診察上で知的に遅れがないと判断した自閉スペクトラム症の小児に対して、知能検査実施を試みることによって、より客観的で確かなデータを収集する予定である。
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