研究課題
アメリカ合衆国は新興国家として、特殊教育でも後進国・日本が関心を示してきた国であり、戦後の占領体制の下、日本の教育の指針となり、理念的に理解された。しかし、理念と現実が乖離した国である。19世紀末以降の大国化、多民族国家・多文化社会、富の一極集中、教育の地方分権、公立学校特殊教育の制度化、能力主義、精神薄弱者の社会的排除、重度精神薄弱児の教育とインクルーシブ教育唱導。これらの矛盾を総合する歴史的再構成について検討した。ドイツでは、第2次世界大戦後の障害児教育の理念と学校制度の発展過程について、Segregation、Integration、Inklusionへと、ドイツ的特色をもちながら展開してきた。インクルージョン期では、学校制度の仕組みや教育活動の具体化は州により対応が異なった。日独交流については、戦前では教育学者の、戦後では上記の3期における日本人のドイツ受容、および訪日ドイツ人学者の活動について整理した。スウェーデンについては、第2次世界大戦以降のインクルーシブ教育への歴史的動向を、EFA(すべてのもののための一つの学校)を軸として俯瞰した。2008年に復活した『従来型』特殊教育担当教員養成制度は、インクルーシブ教育の流れを一気に停滞させた。また、国連障害者権利条約第17条人間としての尊厳は、スウェーデン障害者運動の最も肝要な概念であるが、正当に邦訳されておらず、本来の意味を提起した。社会主義・ロシアについては、ソビエト時代の盲聾児教育の発展について約1世紀にわたる理論的・実践的過程を明らかにした。また、社会主義時代の欠陥学と現代ロシアの障害児教育に通底するL.S.ヴィゴツキー理論について、日本における受容の特徴を明らかにした。また、インクルーシブ学校と伝統的知的障害児学校の教育内容・方法の特徴を明らかにし、実践的背景を把握した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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大阪教育大学紀要総合教育科学
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