研究実績の概要 |
カーボンナノチューブをコアに持つナノ同軸ワイヤー構造構築法を開発し、様々なナノ同軸ワイヤー構造構築を可能とするとともに、カーボンナノチューブ光触媒の高機能化を達成することを目的とし、以下の検討を行った。 1)ナノカーボンのエッジ修飾法として、ハロゲン化を経由した鈴木宮浦カップリングによる官能基導入法を新たに見い出し、グラファイト系化合物へのカルバゾール基導入と蛍光センシング応用について明らかとした。本合成法は、カーボンナノチューブ両端への官能基導入へと応用可能であり、同軸ワイヤー構造両端への官能基導入法として価値が高い(Chem. Lett. in press)。 2)本研究者が独自に見出した同軸ワイヤー構築法である、フラーレン-SWCNT間の相互作用を利用したSWCNTをコアに持つ同軸ワイヤー構築法に用いることができる、新規フラーレン誘導体の合成について検討し、C70誘導体の合成に成功した。これにより、SWCNT側面にC70を物理修飾した同軸ワイヤー構造構築が可能となった点はナノ同軸ワイヤー構造の高機能化の観点から重要である。(Bull. Chem. Soc. Jpn. 2016, 89, 437) 3)合成したナノ同軸ワイヤーの光触媒活性評価を行い、カーボンナノチューブのカイラリティーと触媒活性の相関や内包色素を利用した活性波長制御法などの検討を行った。こうした検討により、600 nm以上の長波長領域の可視光照射下で活性を有するカーボンナノチューブ光触媒の開発に成功しつつある。
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