研究課題/領域番号 |
15H03529
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
神戸 高志 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (00277386)
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研究分担者 |
池田 直 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (00222894)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | フラーレン / 磁性 / 誘電性 / 電気磁気効果 |
研究実績の概要 |
フラーレン磁性体では、異なる分子や原子を空隙に挿入することでフラーレン分子周辺の局所的な対称性が低下し、フラーレン分子上に電気双極子が生成される。本研究では、フラーレン分子上の電気双極子に焦点を当て、磁性と誘電性の相関現象を解明すること、誘電性の長距離秩序相を探索し、長距離秩序相における電気磁気効果を明らかにすることが目的である。磁性・誘電性が共存するフラーレン強磁性体の基本物性と相関現象を明らかにするとともに、新規なフラーレン誘電体/磁性体の設計指針を確立することが目的である
平成29年度は、実装した強磁場下誘電率装置を用いて、フラーレン強磁性体TDAE-C60及び反強磁性体K3(NH3)C60の誘電応答と磁場下誘電率測定を行った。TDAE-C60では、周波数範囲の拡張によって、従来測定できなかった温度での誘電率評価が行うことに成功した。しかし、測定の範囲内では、磁場効果を観測することができず、結晶方位と磁場方向の関係を検討し、測定を行う必要がある。また、新たなフラーレン誘電体/磁性体へ拡張するために、反強誘電体でもあるフラーレン反強磁性体K3(NH3)C60の合成を行った。純良な試料を用い、初めて誘電応答の観測に成功した。この物質では、K-NH3双極子の秩序化とともに構造相転移が生じ、フラーレン分子の配列秩序が生ずると考えられている。誘電応答の測定から、K-NH3双極子の秩序化に関連すると考えられる誘電応答の結果を得た。この結果を、日本物理学会にて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TDAE-C60の純良試料の合成に成功し、基礎物性の測定や、誘電性の測定、磁場下での誘電応答の測定を行った。また、当該年度では、反強誘電体でもある反強磁性体K3(NH3)C60を合成し、その誘電率測定を行うことができた
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今後の研究の推進方策 |
当該年度は、TDAE-C60の単結晶において、誘電性への磁場効果を明らかにするために、結晶方位と磁場との関係をより詳細に検討して、測定を行う。また、反強誘電体でもある反強磁性体A3(NH3)C60 (A=K, Rb, Cs)における誘電応答をより詳細に検討し、誘電率をプローブとしたC60分子軌道の揺らぎの観測を目指す。
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