研究課題
フラーレン磁性体では、異なる分子や原子を空隙に挿入することでフラーレン分子周辺の局所的な対称性が低下し、フラーレン分子上に電気双極子が生成される。本研究では、フラーレン分子上の電気双極子に焦点を当て、磁性と誘電性の相関現象を解明すること、誘電性の長距離秩序相を探索し、長距離秩序相における電気磁気効果を明らかにすることが目的である。磁性・誘電性が共存するフラーレン強磁性体の基本物性と相関現象を明らかにするとともに、新規なフラーレン誘電体/磁性体の設計指針を確立することが目的である。平成30年度は、周波数範囲を拡張した強磁場下誘電率装置を用いて、フラーレン強磁性体TDAE-C60及び反強磁性体K3(NH3)C60の誘電応答と磁場下誘電率測定を行った。TDAE-C60では、周波数範囲の拡張によって、従来測定できなかった温度での誘電率評価が行うことに成功した。現状の精度では誘電性の長距離秩序相は観測できず、明確な磁場効果を観測できなかった。また、新たなフラーレン誘電体/磁性体へ拡張するために、反強誘電体でもあるフラーレン反強磁性体K3(NH3)C60の合成を行った。この物質では誘電応答の観測に関する報告例はない。この物質では、K-NH3双極子の秩序化とともに構造転移が生じ、フラーレン分子の配列秩序が生ずると考えられている。構造転移が生ずる温度で誘電性の大きな異常が初めて観測され、これはK-NH3双極子の秩序化に関連すると考えられる。一方、この物質では報告のある磁性とは異なる結果を得ており、誘電応答の結果と磁性に関して、現在、論文として執筆中である。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
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