研究課題
本研究では、フローリアクターを利用した高効率な光反応を達成するとともに、オンタイムで反応結果を解析可能な有機光反応インライン解析システムを開発することを目的としている。これまでの検討から、マイクロリアクター内において意図的に反応に不活性な試薬(窒素や水)を加えて二相系スラグ流を形成させ有機光反応を行うと、単一相系での反応結果に比べて反応がはるかに加速されることを見出している。本年度は、この特異な現象を、使用した有機溶媒、不活性試薬、フロー流路チューブの物理的パラメータとの関連性の観点から解明することを目指した。まず、有機反応相の溶媒と、反応不活性相試薬やフロー流路チューブとの間の屈折率差が大きいほど反応効率が大きく向上することが判明した。この屈折率差により、照射した光が部分的に有機反応相内に閉じ込められる作用が影響しているものと考察した。また、反応相の有機溶媒の粘性が高いほど、反応効率の向上度が低くなり、有機反応相内での内部高速混合も反応効率の向上の要因の一つであることを明らかにした。一方、ハイスピード動画カメラ撮影による二相系スラグ流の流動の様子を観察したが、不活性相とフロー流路チューブの間に有機反応相薄膜の形成は観測されなかった。加えて、本研究では、反応成績をインラインで解析するために、CMOSインテリジェントセンサを集積化したマイクロフローリアクターシステムの構築を目指しており、本年度は、フローセルに装着した光学系の構成の改善を行った。光学系のアラインメントの調整範囲を大きくすると同時に設定後の光学系の安定度の向上を実現するための部品設計を行い、その効果について基礎評価を行い、設計指針を得た。
平成29年度が最終年度であるため、記入しない。
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