研究課題/領域番号 |
15H03552
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤井 彰彦 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (80304020)
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研究分担者 |
尾崎 雅則 大阪大学, 工学研究科, 教授 (50204186)
吉田 浩之 大阪大学, 工学研究科, 助教 (80550045)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 有機・分子エレクトロニクス / 電子デバイス |
研究実績の概要 |
本研究では、半導体性混合液晶材料の設計指針の確立と体系化を目指し、基礎物性の解明、有機薄膜トランジスタおよび有機薄膜太陽電池の実現、キャリア生成・輸送機構を解明を目的とし、28年度は以下について検討を行った。 (1)チオアルキル基、分岐アルキル基といったフタロシアニン骨格の電子状態に影響を与える異種置換基を有するフタロシアニンとの混合液晶を調製し、その混和性と結晶構造を明らかにした。 (2)評価装置として導入したケルビンプローブ力顕微鏡測定を用いて、仕事関数、もしくはフェルミ準位の2次元マッピング測定を行い、表面エネルギー分布を明らかにした。 (3)半導体性混合液晶を用いた電界効果トランジスタ活性層を塗布製膜法で作製し、そのデバイス特性の評価を行い、電界効果移動度を明らかにした。混合液晶のカラム構造に基づいた電気的異方性を明らかになり、またキャリア輸送特性と液晶材料の混和性の相関性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の研究計画について予定通り遂行した。当初予想していたとおり、フタロシアニン骨格の電子状態に影響を与える異種置換基を有するフタロシアニンとの混合により、液晶半導体性混合液晶材料の結晶構造のみならず、電子状態についても変化が見られた。また、半導体性混合液晶は電界効果トランジスタ活性層材料として適応可能であるだけでなく、薄膜状態で適切な処理を行うことで、単結晶薄膜が作製可能で、かつ結晶方向が制御できることがわかり、当初想定していた以上に薄膜トランジスタとしての新展開が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、以下の研究について推進する。 (1)アルキル置換基を有するベンゾポルフィリン及び、ベンゾポルフィリンとフタロシアニンの中間体といった分子コア部の電子状態が異なる類似構造分子との混合液晶を調製し、その混和性の評価と結晶構造解析を行う。 (2)液晶分子の基底状態及び励起状態における配向・配列の直接観察を行う。特に、高移動度を示す液晶性半導体の薄膜状態における特異なカラム構造の解明、異種半導体及び金属材料との接合界面における分子の配向状態を明らかにし、基底状態及び励起状態における界面エネルギー状態を明らかにする。 (3)バルクヘテロ接合構造太陽電池素子の作製を行い、その光電変換特性の評価を行う。薄膜中のモルフォロジと混合液晶相のドメイン形成の関係を明らかにするとともに、光誘起吸収・蛍光消光測定手法を用いて励起子の拡散長を明らかにし、太陽電池活性層中のドナー材料としての半導体性混合液晶の有用性を示す。
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