研究課題/領域番号 |
15H03555
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
熊谷 義直 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20313306)
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研究分担者 |
村上 尚 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90401455)
富樫 理恵 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50444112)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 窒化アルミニウム / HVPE法 / n形導電性 / Siドーピング / 点欠陥 |
研究実績の概要 |
サファイア基板上にAlN薄膜を成長したテンプレート基板を用い、三塩化アルミニウム(AlCl3)、アンモニア(NH3)、四塩化珪素(SiCl4)ガスの同時供給でSiドープAlN厚膜成長の条件出しを実施した。SiCl4供給を行わない場合にはAlN膜中のSi濃度は1E17 /立方cmであるのに対し、SiCl4を供給することでSiドーピング濃度1E20 /立方cmまで達成できた。しかし、Si濃度2E19 /立方cm以上ではSiCl4供給量に比例したSi濃度制御が可能であるのに対し、それ以下のSi濃度範囲ではSiドーピング濃度制御ができないことが分かった。一方、単結晶AlNバルク基板を用いて同様の成長実験を実施したところ、10の18乗/立方cm台のSiドーピング濃度制御も可能であることが分かった。詳細に調査したところ、テンプレート基板を用いた場合には、サファイア基板が還元されて生じるH2Oガスの影響でAlN膜中に2E19 /立方cmの酸素不純物が取りこまれてしまい、これとSiCl4ガスとの反応でSiOが生成されるためSiドーピング制御ができなくなっていることが分かった。AlNバルク基板上に成長したSiドープAlN厚膜中では、Si以外の不純物濃度は2E18 /立方cm未満に抑えられていた。 Siドーピング濃度7E19 /立方cmのAlN成長膜について、オーミック電極を形成した後にホール効果測定を実施し、成長膜がn形導電性を有すること、室温で4E13 /立方cmのキャリア濃度、12.7 cm2/(V s)のホール移動度を有することを確認した。 また、得られるようになったn形電導性を有するAlN結晶を初期基板より分離して導電性基板とし、縦型の深紫外線LEDの試作に用いてデバイス特性評価を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
窒化アルミニウム結晶の気相成長におけるSiドーピングでSi不純物濃度の制御のキーとなるメカニズムを解明し、広い濃度範囲のSiドープAlN単結晶成長を実現した。また、SiドープしたAlN結晶の電気的特性評価によりn形導電性の発現を確認した。
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今後の研究の推進方策 |
現状では、Siドーピング濃度とSi不純物の活性化エネルギーから想定されるキャリア濃度は得られておらず、Siドーピングと同時にキャリア補償源が導入されている。よってSiドープ結晶の結晶性を詳細に検討し、Siドーピングによる結晶性劣化の有無を確認する。
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