研究課題
ゲルマニウム(Ge)電子デバイス高性能化に必要不可欠な金属/Ge接合におけるコンタクト抵抗の低減技術を開発している。また、ゲルマニウム錫(GeSn)等の新たに注目されるGe系混晶半導体の実用化に向けて、その金属/半導体コンタクトにおける界面物性の解明、電気伝導特性の制御技術の構築を進めている。本研究により、金属/半導体界面の理解を深め、Ge(Sn)系エレクトロニクス応用に資するプロセス、デバイス技術の確立を目指す。本年度の主要な成果を以下に記す。(1)金属/n型Ge界面への膜厚3nmの極薄SiGeSn三元混晶界面層の挿入によって、室温におけるオーミック伝導特性を確認し、Schottky障壁高さ(SBH)を0.1eV程度にまで低減できることを実証した。(2)様々な組成、結晶構造のSiGeSn界面層について検証した結果、Ge基板に格子整合し、低欠陥な界面構造を有すると推測されるSiGeSn界面層を用いることで、より効果的にSBHが低減される傾向を実証した。界面結晶構造の改善が金属/Ge接合におけるSBHの制御に重要であることを示唆している。(3)極薄GeSn界面層を挿入した金属/n型Ge界面のSBHの金属仕事関数依存性を評価した結果、仕事関数依存性は金属/n-Ge直接接合と同様の勾配を示しながら、Sn組成の増大に伴うSBHの減少を見出した。これは、金属/GeSn/Ge接合において依然Fermiレベルピニングが生じていること、ただし、ピニング位置が価電子帯端近傍から、伝導帯側へシフトすることを示している。(4)一軸ひずみGe MOSFETのソース/ドレインストレッサに期待されるSbドープGeSnエピタキシャル層の形成技術を開発した。1E20/立方cm以上の高電子濃度を有し、Sn組成6%に達するSbドープGeSn層の形成を達成した。
2: おおむね順調に進展している
Siに親和性の高いSiGeSn混晶層を用いて、n型Geに対するSBHを効果的に低減できることを実証できた。SiGeSnは高濃度ドーピングによるコンタクト抵抗率のさらなる低減も期待できることから有望な界面制御材料であると期待している。また、GeSn界面層技術において、SBHの金属仕事関数依存性を調べることで、SBH低減の機構について系統的な知見を獲得できた。高濃度ドーピング技術においても新しい知見が構築されており、これらの技術を統合することで、最終年度において低抵抗接合形成技術の構築を進めていく準備が整った。
今後は、並行して開発しているn型Geへの高濃度ドーピング技術を活用し、コンタクト抵抗率低減の実証を進める。また、エピタキシャルジャーマナイド/Geコンタクトの形成、SBH制御についても合わせて検討し、最終年度においてコンタクト抵抗率低減に重要な界面制御技術について、総合的な研究を進めていく。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 6件、 招待講演 2件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
Mater. Sci. Semicond. Proc.
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1016/j.mssp.2016.12.028
特別研究会「電子デバイス界面テク ノロジー研究会―材料・プロセス・デバイス特性の物理―」 (第22回)報告書
巻: - ページ: 63-66
信学技報
巻: 116 ページ: 11-15
http://alice.xtal.nagoya-u.ac.jp/zaimalab/