平成27年度は“1光子検出”の開発、平成28年度は“1分子感度”の開発に注力した。平成29年度は、これら高感度検出系と自作の高安定性常温大気中~不活性ガス環境制御下STMを融合し、分光イメージングを試みた。試料として、金単結晶Au(111)面にCVD成長させたグラフェンを用いた。結果、0.6nm程度というサブナノメートル空間分解能でラマン分光イメージングを可能とした。近接場特有の選択則を見いだし、ラマン不活性である、Dバンドおよび2フォノンモードであるD+D’バンドを無欠陥グラフェンからの検出に成功した。また、超高真空極低温STMにも応用し、銅ナフタロシアニンの単一分子ラマン測定に成功した。
|