研究課題
生体の構成要素によってX線の透過率が違う特性を生かし,水の窓領域のX線を用いた生体細胞撮影やタンパク質等の物性構造解析に関する研究が行われている.XX線顕微鏡実現されると,脱水することなく,生かしたままで高分解能での観測が可能になる.しかしながら,シングルショットで動作する水の窓X線の明るい小型光源は未だに実現されておらず,シングルショット撮影は実現できていないのが現状である.従来の光源装置はいずれも装置規模が大型であり,レーザー装置の技術も高度で,広い意味で利用率が低く,大学や研究所での研究室レベルでのX線光源を所有することは難しい.コンパクトで簡便かつ高輝度の水の窓領域X線光源が生命科学や物性研究において要求されているにも関わらず,適切な高効率・高出力で簡便なコンパクトX線光源がないために,大型装置を使わざるを得ず,研究時間,手法,利用者が限定されているのが現状である. そこで,本研究では,ビスマスを用いるレーザープラズマ光源方式により,シングルショット撮影に必要な水の窓X線放射出力を実現することを目的とした.最終年度の平成29年度は,水の窓軟X線顕微鏡により水の中にあるHeLa S3細胞の撮像を試みた.平成29年度に行った研究内容と研究成果を簡単にまとめると以下の通りである.(1) Biプラズマ光源を高輝度化・高出力化するために,二重パルス照射法を適用し,放射される光子数を評価した.(2) 水の窓軟X線顕微鏡の照明ミラーを金コートのものから多層膜コートのものに変更し,スループットを従来よりも1万倍向上させた.(3)厚さが数ミクロンの水の中にあるHeLa S3細胞をシングルショット撮像した.撮像した画像から空間分解能を評価すると約1ミクロンであった.この結果は,密着型顕微鏡における到達光子数から評価されるシンチレータの空間分解能とほぼ一致した.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 6件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
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