現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
固体高分子形燃料電池用の酸素還元電極触媒として有望であると考えられている白金-ニッケル、白金-コバルト、白金-鉄ナノ粒子の合成をイオン液体-量子ビーム照射法により、大量合成することを試みたが、予想通りの成果は得られなかった。その原因を明らかとするため、様々な研究を行ったが、鉄族元素についてはナノ粒子が特異的に生成されにくいということが明らかとなった。イオン液体を用いた他のナノ粒子調製法、例えば、イオン液体-スパッタリング法(Torimoto, et al., Appl. Phys. Lett., 89, 243117 (2006); Yoshii, et al., J. Mater. Chem. A, 4, 12152-12157 (2016).)でも同様の傾向が得られており、ナノ粒子調製法に依存しない鉄族元素に特有の現象のようである。一方、白金やパラジウムなどのナノ粒子を大量合成するための基礎的知見については十分に得ることができている。また、産業化の際に必要となるスケールで利用できるイオン液体種についても、ある程度の目途が立った。ターゲットとするナノ粒子の一部が予想通りに合成できないといったアクシデントを除いては、当初の予定通りに研究は進んでおり、最終年度にイオン液体-量子ビーム照射法を利用した酸素還元電極触媒の創製とその評価が可能な状況にあるため、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
|