研究課題/領域番号 |
15H03600
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
下山 幸治 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (80447185)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 不確かさの定量的評価 / 最適設計 |
研究実績の概要 |
昨年度から構築を開始した,不確かさを含む設計変数・条件とそれに対応する目的関数からなる多次元の設計空間の構造を縮約するモジュールについて,今年度は更なる改良に取り組んだ.次元縮約を可能とする教師なし学習ニューラルネットワーク「自己組織化マップ」を,あらかじめ用意された学習データを基に作成した後,任意の入力データについて自己組織化マップから出力される解の推定精度を検証した.検証の結果,入力データを元の多次元空間から自己組織化マップ上で扱う低次元空間の座標へ変換する方法の重要性が確認されたため,その変換方法について詳細に検討した.その結果,可能な限り変換誤差を生じない方法を編み出し,その有効性をテスト問題で確認した. さらに今年度は新たに,Krigingモデルを非定常に定式化するモジュールの構築に取り組んだ.設計空間全体に1つの共通の定式化を施する従来の方法(定常的定式化)に比べて,設計空間の場所場所で定式化を変える方法(非定常定式化)の方が不連続な傾向と滑らかな傾向が混在する複雑な目的関数をより効果的に近似できるようになる.今年度は,従来の定常定式化モジュールを拡張する形で,非定常定式化モジュールの基本部分を構築した.また,様々なバリエーションの定式化をプログラム化し,これらを本モジュールに実装しオプションとして選択できるようにした.本モジュールをテスト問題に適用し,動作確認その有効性の検証を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
過去に導入・増強済みの並列計算機を有効活用できているため.また,大学院生1名に研究補助をお願いしているため.
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今後の研究の推進方策 |
今年度から構築を開始した,Krigingモデルの非定常定式化モジュールについて,膨大な定式化パラメータを効率よく決定できるアルゴリズムを検討し,それを本モジュールに実装する.また来年度は新たに,本モジュールによって構築されたKrigingモデル上で,設計変数・条件の不確かさに対する目的関数の統計量を精度良く算出するために,必要な数値計算データを動的に追加しKriging モデルを更新するモジュールを構築する.目的関数の中に突如現れる強い不連続面を重点的に捉えたい場合には目的関数の勾配が大きくなる設計変数・条件のケースをKrigingモデル上で探し,目的関数の近似精度を全体的に改善したい場合には目的関数の推定誤差が大きくなるケースを探す.これらをバランス良く組み合わせることで,精度良いKrigingモデルの構築に要求される数値計算のケース数を必要最小限に抑える.
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