研究課題/領域番号 |
15H03610
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
安田 正大 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (90346065)
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研究分担者 |
古庄 英和 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (60377976)
山下 剛 京都大学, 数理解析研究所, 講師 (70444453)
岩成 勇 東北大学, 理学研究科, 准教授 (70532547)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ガロア表現 / p進Hodge理論 |
研究実績の概要 |
研究代表者は山下剛氏との共同研究により構成した階数2のWach加群の族についての計算を精密化し、クリスタリン表現の法p還元だけでなく、整格子がどのくらいたくさんあるか、および、還元の拡大類の同型類の決定を多くの場合に行った。精密化して得られた結果を用いて、2次元法pガロア表現のクリスタリン変形環の既約成分をいくつかの場合に決定した。今回得られた結果は、クリスタリン表現のより精密な構造決定に役立つと期待される。また、複シャッフル関係式と整数係数の一般線形群の関係についてのGoncharovの研究をグラフ構成の視点から見直し、証明の省略されているGoncharovの議論の解明を行った。さらに、5 次フェルマ曲線に現れる有理数体上のモチーフのL関数について、主にK3曲面の理論からいくつかの計算を行った。得られた計算結果は断片的なものにとどまっているが、この方向で研究を進めることにより該当する L 関数の特殊値とレギュレータ写像とを結びつける新しい手法を与えると見込んでいる。 研究分担者の古庄は、佐藤信夫氏と広瀬稔氏が近年発見し合流関係式と名付けた多重ゼータ値の関係式が、シャッフル積公式のもと結合子関係式と等価であることを示した。 研究分担者の山下は、上述のクリスタリン表現の法p還元の共同研究を行い、さらに宇宙際Teichmuller理論のサーベイの改訂を行った。 研究分担者の岩成は、代数多様体の局所モジュライとその周期写像の理論を非可換へと拡張することに関わる研究を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
階数2のWach加群の族についての計算を高階数化し幾何的解釈を与える研究は、研究時間が確保できず未着手のままにとどまった。また、p進代数群の表現と関係するサイトについて、高次トポスを用いて研究する予定であったが、研究時間が確保できずに十分な研究を行うところまで行かなかった。
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今後の研究の推進方策 |
クリスタリン表現の還元の研究については、クリスタリン表現だけでなく半安定表現も同時に扱ったほうが結果の記述が簡明になりそうだということが分かってきたので、半安定表現も扱えるような理論を考察あるいは構築することにより状況の打開を目指す。p進代数群の表現と関係するサイトについての高次トポスを用いて研究する時間は十分に確保できなかったが、高次圏の理論についての知識の習得にはかなりの時間を割くことができたので、時間さえあれば得られた知識をもとに今後の研究を推進ゆく準備は整っている。また、もともとの研究計画になかった Fermat モチーフや K3 曲面についての計算を実行したり、および conservativity 予想についての最近のアプローチを勉強したりする機会に恵まれ、新たな研究の方向性が広げることができたので、今後の研究の新展開につなげることができると考えている。
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