研究実績の概要 |
金銅誠之、G. Martinと共同で、有限自己同形群をもつ標数2のEnriques曲面の分類を行った。Enriques曲面上の自己交点数-2の有理曲線をnodal curveという。複素数体上の有限自己同形をもつEnriques曲面は、nodal curvesのなすconfigurationによって7種類に分類されていた。Bombieri-Mumfordによる基本的な結果として、標数2の場合は、複素数体上の場合と大きく異なり, Enriques曲面はsingular, supersingular, classicalの3種類に分かれることが知られているが、有限自己同形を持つ場合は, nodal curvesのconfigurationが、singularなものは標数0の場合に出てくるI型, II型, VI型の3種類しか存在しないこと、supersingularなものはVII型のほかに新たに3種類存在する(合計4種類)こと、classicalな場合はVII型のほかに新たに7種類存在する(合計8種類)ことを示し、それら以外にはconfigurationが存在しないことを示した。また、それらが実際に存在することを示すEnriques曲面の例をvector fieldの商を考えることによりすべての場合に構成し、得られたEnriques曲面の有限自己同形群の構造もすべて決定した。これらの中にはこれまで知られていなかったようなcohomologically trivialな自己同形群をもつEnriques曲面も含まれている。Lattice theoryを始め、extremal rational elliptic surfaceの分類、extremal rational quasi-elliptic surfaceの分類、conductrixの分類などを用いて証明する。
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