研究実績の概要 |
A. Alekseev 氏(ジュネーブ大学)F. Naef 氏(ジュネーブ大学)および連携研究者久野雄介氏(津田塾大学)との共同研究で、柏原ヴェルニュ問題の解の集合と、種数 0 の場合のゴールドマン・トゥラエフ・リー双代数の形式表示をあたえる特殊展開の集合が一対一対応していることが証明できた。Duflo 函数が線型項を除いて曲面トポロジーで説明できることも分かった。以上の結果を論文 Adv. Math., 326(2018) 1―53 において発表した。この対応は正種数の曲面への柏原ヴェルニュ問題の拡張の方向を示唆しており、C. R. Acad. Sci. Paris, Ser. I. 355 (2017) 123―127 においてアナウンスした。 曲面のフレーミングがトゥラエフ余括弧積において一定の役割を果たす。そこで、曲面のフレーミングのホモトピー集合(絶対版)における写像類群作用の軌道を分類した。種数2以上および種数0では新しい現象は見つからなかったが、種数1では(境界成分が幾つあっても)フレーミングの新しい不変量によって写像類群作用の軌道が分類されることを示した。以上の結果は論文 Quarterly J. Math. において発表予定(web 上は掲載済)である。なお、種数2以上の相対版は Randall-Williams がすでに分類している。 リーマン面に関連する国内の研究者に広く集まっていただき平成28年9月3日から6日まで東大数理大講義室において研究集会「リーマン面に関連する位相幾何学」を主催した。 本年度の研究費は繰越を行った。繰り越した研究費と次年度の研究費によって関連分野の海外研究者および海外共同研究者を招聘して 平成29年5月22日から26日まで東大数理大講義室において国際研究集会「ジョンソン準同型とその周辺」を共催した。
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