研究実績の概要 |
(a) 楕円超幾何函数の差分 de Rham 理論:伊藤雅彦(琉球大学)との共同研究により,BC 型の場合の一般 Selberg 型楕円超幾何積分の de Rham 理論的考察を行った.特に補間函数基底に対する q 差分方程式系を導出し,その基本解行列の行列式についての明示公式を得た.この結果は q 超幾何積分の場合のTarasov-Varchenko(A型), 青本・伊藤(BC型) の結果の楕円化と見做すことができる. また G2 型楕円 Selberg 積分に関する新しい積分公式を得た.これは Gustafson の G2 型 q Selberg 積分の楕円化として,伊藤・Spiridonov(2007)が予想した公式である. (b) 楕円差分 Painleve 系の研究:山田泰彦(神戸大学), Simon Ruijsenaars(Leeds 大学, UK) との共同研究により, 楕円差分 Painleve 方程式の Lax 形式に用いられる差分作用素と, BC型の楕円 van-Diejen 作用素との関係を明らかにした. (c) Ruijsenaars 系に関わる特殊函数:白石潤一(東京大学), Edwin Langmann(KTH, Sweden) と共同で,A型 の楕円 Ruijsenaars 系の固有函数の構成に関する研究を推進した.特に白石氏の提案と予想に基づいて,「非停留型 Ruijsenaars 函数」のNekrasov 型展開公式から,本来の Ruijsenaars 系の固有函数が得られることを,計算機実験によって確認した.
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